2021 Fiscal Year Annual Research Report
Hippoがん抑制シグナルの活性化を伴う新規発がん機構の解析
Project/Area Number |
21J20257
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
堀 直人 千葉大学, 医学薬学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | Hippo経路 / がん / 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化の進む日本社会においては、今後3人に1人はがんで亡くなると予測されており、がんの発生や進展の分子機構の理解を深め、新規治療薬開発につなげることの重要性は未だ低下していない。Hippo経路は、がん抑制経路として近年注目を集めるシグナル伝達経路である。一方で、我々はこれまでにHippoがん抑制経路が転写制御因子VGLL3の活性化を介して細胞増殖や上皮間葉転換(EMT: Epithelial-Mesenchymal Transition)を促進し、がん悪性化にも寄与することを見出した。しかしながらVGLL3によるEMT誘導機構については解明出来ていなかったため、本年度はVGLL3によるEMT誘導機構について解析を行った。 VGLL3発現株についてRNA-seqを行い、VGLL3発現株において増加が見られるEMT誘導因子としてHMGA2 (High Mobility Group AT-Hook 2)を見出した。VGLL3発現株においてHMGA2がVGLL3-TEAD4複合体の下流で誘導される事を明らかにした。更に、VGLL3発現株においてHMGA2発現がEMT表現形である遊走能を亢進することを見出した。TGF-β刺激によるVGLL3発現誘導がHMGA2発現を介して遊走能を亢進することを見出した。また、内在でVGLL3を高く発現する間葉系乳がん細胞においてもVGLL3発現株同様にVGLL3によるHMGA2誘導と遊走能の亢進が見られる事を見出した。これらの結果を元に、Journal of Cellular and Molecular Medicine誌に論文を投稿し、掲載が決定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VGLL3によるEMT誘導機構について解析を行い論文を投稿し、掲載が決定されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
Hippo経路活性化とVGLL3活性やEMTの関連性について細胞レベルで解析を行う。個体レベルでの解析を行うためにノックアウトマウスの作製を行う必要がある。ノックアウトマウスが作製出来次第、順次発がん実験等の実験を行っていく。
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