2023 Fiscal Year Annual Research Report
事例検討会による保健師の職場内教育(OJT)を推進するガイドブックの開発と検証
Project/Area Number |
22KJ0475
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 太一 千葉大学, 大学院看護学研究院, 特任助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 保健師 / 事例検討会 / 職場内教育(OJT) / ケアリング / vulnerable family |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、予備研究により導出した事例検討会による保健師の職場内教育(OJT)モデルを実践現場で実装可能なものとするガイドブックを開発し、検証することである。 令和5年度は、4職場にガイドブックを活用してもらうことによる有効性の検証を行った(県型保健所2、政令指定都市の市町村保健センター1、その他の市の市町村保健センター)。管理的立場の保健師に、6か月間で、事例検討会の設計、3~6回の実施、評価を行ってもらい、研究者は期間前後での質問紙調査と事例検討会の参加観察、期間終了後のグループインタビューによって、有効性を評価した。有効性の評価はコンテクスト×メカニズム=アウトカムの原則により行った。 コンテクストとして、4職場に共通して、管理職が保健師であるため事例検討会の実施の理解が得られやすいこと、事例検討会以外にもOJTの仕組みがあること(計画的な同行訪問や複数の保健師での地区担当制度等)が存在した。 メカニズムとして、スタッフ全員が事例検討会の意義や方法を理解し、安心して、主体的に参画することで、事例検討会での学びにつながっていたと考えられた。参加者一人一人が、支援対象者を理解し、援助関係を構築していくことが支援の前提であることを共有していることは、ケアの質を高める事例検討会につながっていたと考える。これらは学習理論とケアリング理論で説明ができた。 アウトカムとして、質問紙調査の結果では、松坂ら(2017)の開発した行政保健師の家族支援実践力尺度の合計得点の平均点(n=29)が、371.8点から401.1点に上昇した。グループインタビューでは、成果として“保健師として個別支援をする上での価値や目標といった軸が得られた”、“互いの事例の状況がわかり、相談しやすくなった”等が得られた。それらを経て、支援対象者自身が援助関係の中で自分の状況を振り返り今後を考えられるようになっていた。
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