2023 Fiscal Year Annual Research Report
光照射不活性法と計算科学を駆使したRI医薬のドラッグデリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
22KJ0538
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
巽 俊文 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 改変ビオチン / 改変ストレプトアビジン / 光照射不活性法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、独自の抗体-改変ストレプトアビジンと改変ビオチンによる薬物送達システムを利用してα 線放出核種である211At を光照射不活性法と融合したプレターゲティング法でがん組織に送達させることで、副作用が低く、治療効果の高い治療法の開発を目指し検討を行った。 本年度は、プレターゲティング治療での治療効果を高めるため、改変ビオチン体の改良を行い、改変ストレプトアビジンとの親和性を大幅に向上させることに成功した。マウス血漿中で安定である改変ビオチン体は、プレターゲティング治療に適しているが、改変ストレプトアビジンとの親和性(Kd値)が低い問題があった。そこで改変ビオチン体と改変ストレプトアビジンの共結晶を作成し、放射光を用いて共結晶構造解析を行ったところ、改変ビオチン体のリンカーが若干長いことが判明した。この結果からリンカーの炭素数を若干短くした新規改変ビオチン-ビス体の合成を行い、改変ストレプトアビジンとの共結晶を作成し、共結晶構造解析を行った。さらにSPRによる親和性測定を行った。その結果、新しく合成した改変ビオチンビス体はこれまでの改変ビオチン体と比較して約1000倍のKd値を達成することが出来た。論文投稿に向けてこの化合物のスペクトルデータの取得を行った。 光増感剤を担持した一本鎖抗体-改変ストレプトアビジン及び、改変ビオチンを担持したビーズを用いて、近赤外光の照射により、改変ストレプトアビジンと改変ビオチンの結合力が低下するか確認した。その結果、近赤外光を照射した場合、改変ストレプトアビジンと改変ビオチンの結合力が低下することが確認された。この結果から開発した光増感剤を一本鎖抗体-改変ストレプトアビジンに導入することで、血中に残存するキャリア分子を不活性化することができ、本薬物送達システムの光照射不活性法への応用が期待される。
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