2023 Fiscal Year Annual Research Report
中近世における漢語の語形に関する研究―漢字音の一元化を中心に―
Project/Area Number |
22KJ0545
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 英之 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 呉音 / 漢音 / 日本漢字音 / 漢字音の一元化 / 慣用音 / 漢語の語形変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、一つの漢字における複数の音読みが一音に収束していく「漢字音の一元化」現象を、特に漢語の語形変化や語形揺れに着目して分析することを目的としている。最終年度となる令和5年度は、(1)総括的な研究と、(2)既発表内容の追加調査・論文化に重点を置いたほか、調査が不十分であった(3)近世以後の語形の交替について研究した。 (1)6月に、韓国・清州で行われた第64回口訣学会夏季全国学術大会にて「中世以降の呉音・漢音について」という発表を行った。現代に至るまでの呉音・漢音の分布の変遷について、報告者自身のものを含む先行研究をまとめる形で素描した。その後発表内容を改訂し『口訣研究』51号に掲載した。 (2)2022年度秋の訓点語学会研究発表会で発表した「漢字字体と慣用音―「萌」の字音の変遷を例に―」について、近世の字書類を中心に追加調査を行い、また新たに国立国会図書館・斯道文庫・宮内庁書陵部などで原本調査を実施することで、用例や内容を増訂して論文化したのち、漢検漢字文化研究奨励賞に応募した。本論文は佳作を受賞し、『漢字文化研究』14号に掲載された。 (3)7月に、東京大学国語研究室会にて「近世における漢語の語形変化―『庭訓往来』両点本を用いて―」という発表を行った。左右両訓の構造を持つ『庭訓往来』三本(元禄頃版・宝暦版・慶応版)を対象に、左傍の単字音と、右傍の漢語の語形を調査し、両者にみられた変化について考察した。しかし、間に位置する宝暦版が他の二本と一致しないという例が多くあり、その解釈については今後の課題を残している。 このほか、昨年度に引き続き、東大本『玉塵抄』巻五の翻刻を連名で発表した(『日本語学論集』20号)ほか、3月に中国・清華大学で開催された「フォーラム古辞書・漢字音とデータベース2024」において、『文明本節用集』に見られる四声と和訓との対応関係に関する発表を行った。
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