2022 Fiscal Year Annual Research Report
最適制御理論に基づいた補助情報の観測・生成を伴う集団の最適探索戦略の理論構築
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21J20436
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鳥取 岳広 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 理論生物学 / 制御理論 / 最適制御 / 確率制御 / 部分観測確率制御 / 分散型確率制御 / 平均場確率制御 / 記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では本研究課題である補助情報の観測・生成を伴う集団の最適探索戦略を明らかにするための前段階として、補助情報の観測を伴う個体の最適探索戦略を明らかにするために、次の3つの研究を実施した。 【1】本年度ではまず前年度で構築した、補助情報の観測を伴う個体の最適探索戦略を明らかにするうえで中心的な役割を担う新しい最適制御理論について、論文にまとめて投稿した。特に論文のリバイスの過程で本理論が線形二次ガウス問題において最適制御理論の伝統的な結果であるカルマンフィルタやリカッチ方程式を再現することを発見し、本理論が従来の最適制御理論の自然な拡張であることを明らかにした。 【2】前年度で構築した新しい最適制御理論と平均場確率制御理論の関係の理解を深めた。特に、前年度で構築した新しい最適制御理論が平均場確率制御理論にはない特殊な数理構造をもち、その結果として収束保証のある効率的な数値アルゴリズムが提案できることを明らかにした。この結果により本研究課題を円滑に進めることが可能となった。この研究成果は査読ありの論文と国内学会で発表した。 【3】前年度と本年度で構築した新しい最適制御理論を補助情報の観測を伴う個体の探索問題に適用することで、その性質を調べた。その結果、不確実性の低い環境では過去に観測した補助情報の記憶を全く活用しないのに対して、不確実性の高い環境では記憶を積極的に活用する、不連続な相転移が現れることを明らかにした。この結果は脳のような高度な記憶システムの進化を議論するうえで、重要な結果だと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は本研究課題である補助情報の観測・生成を伴う集団の最適探索戦略を明らかにするための前段階として、補助情報の観測を伴う個体の最適探索戦略の研究に取り組み、その理論的基盤を構築することに成功した。来年度は本年度で取り組んだ研究を個体から集団に拡張することで、本研究課題の目標を達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては次の3つが挙げられる。 【1】来年度ではまず本年度で明らかにした補助情報の観測を伴う個体の最適探索戦略について論文にまとめて投稿することを目指す。論文にまとめる過程で、その詳細の解析についても進める予定である。 【2】来年度では本年度で明らかにした補助情報の観測を伴う個体の最適探索戦略を集団に拡張することで、本研究課題の目標である補助情報の観測・生成を伴う集団の最適探索戦略を明らかにすることを目指す。 【3】来年度では本年度で構築した理論的枠組みを生物の探索問題のみならずより幅広い生物学的問題にも適用することで、その有用性を実証することも試みる。
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