2023 Fiscal Year Annual Research Report
分子地球化学的アプローチによる希土類元素濃集現象の包括的理解とその資源工学的応用
Project/Area Number |
22KJ0574
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長澤 真 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | レアアース(希土類元素、REE) / イオン吸着型鉱床(イオン鉱) / ハンドオーガーボーリング / 外圏錯体 / 内圏錯体 / X線吸収端近傍微細構造(XANES) |
Outline of Annual Research Achievements |
イオン鉱におけるREEの化学種としては外圏錯体あるいは内圏錯体として濃集しているとの報告があるが、これは土壌層の風化度などが地表からの深度に依存するためであると考えられる。そこで、本研究ではハンドオーガーボーリングにより採取した深度プロファイルに対してX線吸収微細構造(XAFS)法を適用することで、イオン鉱におけるREE化学種を系統的に明らかにした。また、放射性トレーサー法による分配係数Kdの実測を含む室内吸脱着実験から、イオン鉱におけるREE化学種と電解質溶液による抽出率の関係を次の通り結論付け、それらが土壌pH支配(および濃度依存)であることを明らかにした。 ・表層部(低濃度・低pH):風化残留鉱物中REE主体のためほとんど抽出されない ・濃集部(高濃度・低pH):外圏錯体主体のため高い抽出率を示す ・深層部(低濃度・高pH):内圏錯体主体のため抽出率は濃集部に比べ低下するが低pH条件とすれば抽出可能 さらに、天然試料およびREE(イットリウム)を吸着させた標準粘土試料のイットリウムK吸収端X線吸収端近傍微細構造(XANES)領域の解析の結果、総REE濃度3000 ppm(抽出率90%)を越える露頭試料のXANESスペクトルはモンモリロナイトでしか説明できず、総REE濃度1000 ppm(抽出率80%)程度未満の試料のXANESスペクトルに関してはカオリナイトのpH変化で説明できることを明らかにした。これらの結果はSTEM-EDS分析とも整合的であり(それぞれモンモリロナイト、カオリナイト上にイットリウム濃集を確認)、より高品位なイオン鉱試料の形成に対する2:1型粘土鉱物の重要性を示唆している。
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