2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Interhemispheric Coupling of the Middle Atmosphere Using a High-resolution General Circulation Model
Project/Area Number |
22KJ0587
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥井 晴香 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 中層大気 / 大気重力波 / 大気力学 / 大気大循環モデル / プラネタリー波 / テレコネクション / 衛星観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
地表から下部熱圏までの中性大気のうち対流圏より上の中層大気では、大気波動による運動量の再分配が放射で決まる構造とは大きく異なる循環・温度場を形成・維持している。大気重力波(以下、重力波)は特に中間圏の大循環の駆動において中心的な役割を果たす。しかし、重力波の時空間スケールは小さく、多くの気候モデルでは重力波による運動量輸送はパラメタリゼーションによって表現される。重力波そのものを解析できる全球のデータセットは限られるため、重力波の中層大気力学における役割は十分に明らかではない。 そこで本研究では、重力波を陽に扱う大気大循環モデルJapanese Atmospheric General Circulation Model for Upper Atmosphere Research(JAGUAR)を用いる。高解像度版JAGUARは、全中性大気を含むモデルとしては世界トップレベルの解像度を持つ。このモデルを用いて、同じく全中性大気を含むデータ同化システムJAGUAR-DASで作成された再解析データを初期値とする、7年の北半球冬季の再現実験を実施した。衛星観測を用いてモデル内重力波の再現性を検証したうえで、実験結果を用いて重力波が中層大気の全球的な遠隔結合に果たす役割を調べた。 最終年度には、冬季極域成層圏と夏季極域上部中間圏の気温偏差が正の相関を持つ「南北半球間結合」のメカニズムの解明を行った。従来の南北半球間結合の研究が用いていた全球モデルでは重力波の大部分がサブグリッドスケールの現象であったが、本研究では重力波そのものを解析対象として、重力波から全球規模現象までのスケール間相互作用を定量的に調べた。その結果、重力波と約2日周期を持つ惑星規模の大気波動である準2日波が次々と相互作用することで、気温や風の偏差が夏極上部中間圏へ伝わる様子が明らかとなった。
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Research Products
(12 results)