2022 Fiscal Year Annual Research Report
三体力学系における運用の不確定性に対してロバストな周期軌道設計および軌道制御手法
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21J21036
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
近澤 拓弥 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | ロバスト軌道設計 / 軌道維持制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では不確定性に対して「ロバスト」な軌道を設計することで、宇宙探査ミッションに内在する様々な不確定性、例えば軌道投入誤差や軌道決定誤差などに対して宇宙機を失うリスクを小さくすることを目的とし研究を遂行した。ここでは全体を通した成果部分の理論面とその応用面の大きく二つを記載する。理論面においてはこれまでは多くが決定論的な定式化に基づき設計されていた軌道維持制御問題に対して、確率論的なモデルを導入した上で目的位置における宇宙機の分散がある閾値以下となるような制御問題を考えることで、新しいタイプの制御器の設計に至った。この制御器を宇宙機の運動が繰り返される周期軌道上において適用することで、宇宙機がある一定の領域内に留まることを示した。もう一つの成果として、微小な誤差がその後の軌道に大きな影響を与えるスイングバイ問題において、その前後の関係式を表現する新たな写像を導出することで事前に多くの条件を統一的に扱うことが可能となり、結果としてスイングバイ前の不確定性を吸収し得るロバストな軌道設計手法を提案した。後者においては実際の探査ミッションの軌道設計と運用において利用され、応用面での有効性を確認することができた。従来手法においては単一の解群のみしか扱うことができなかったが、本手法が定める条件で規格化されている解群であれば扱うことが可能であるため、幅広い条件を網羅した上での軌道設計が可能となった。この観点はスイングバイを扱う他のミッションでの有効性も大いに期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案手法のフレームワークの完成に至り、実運用での確認が終わっているため。様々な解を網羅することでロバスト性が向上していることが定性的に確認できた。定量的評価は今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
地球-月系で月スイングバイを用いる場合においては実運用レベルで手法の確認ができているため、異なる系での適用や導出にあたりおいている仮定から大きくずれる場合などへの確認を行う。この2点により手法の有効範囲などを示す。
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Research Products
(3 results)