2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21J21297
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 祐児 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 貧困 / サーベイ実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、貧困者の救済における論争の分析を通じ、貧困者の救済を否定する言説の総体を導き出すことである。 本年度は特に、ある貧困者が救済に値すると判断されるかどうかについて、貧困者の状況をランダムに変化させるサーベイ実験を活用した検討を行った。貧困者の状況として特に着目したのが子どもの有無である。貧困者に子どもがいることは、社会的投資の観点からすれば、行政による支援の対象とみなすことができる一方で、家族主義の観点からすれば、貧困者本人の自助の対象とみなされることになる。分析の結果、貧困者に成績が優秀な子どもがいること行政による救済責任を強化する効果がある一方、子どもの成績や性別を問わず、貧困者に子どもがいることは貧困者への帰責を強化する効果がみられた。従来の社会的投資と家族主義に関する議論では、両者は両立し得ないと考えられてきたが、本研究の知見はそれが両立しうることを示すものであり、研究上の意義は大きい。 これらの知見は論文として投稿済みであり、現在査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
貧困者の救済を否定する言説の総体を導き出すことを目的とする本研究課題のもと、現在までに、貧困者の属性と貧困者の救済に関する意識との関連を検討することができた。そのためおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は研究最終年にあたる。そのため、これまでの研究成果を統合し、新たな知見の創出に努める。
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