2022 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ語の不定詞補部の統語構造-形態音韻、意味とのインターフェースからの考察
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21J21764
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高畑 明里 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | ドイツ語 / 統語論 / 複雑述語 / 不定詞句 / モダリティ / 項構造 / 受動文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ドイツ語の結束的不定詞を含む構文の統語構造の分析を進めた。結束的不定詞については、不定詞と支配動詞が複合動詞を形成するという分析と、不定詞が独自の句を形成するという分析の間の対立がある。本研究は複合動詞的な性質を不定詞句の大きさにより説明することを目指し、Ramchand(2008, 2018)で提案されている単一の動詞の動詞句をさらにいくつかの機能範疇の投射に分解するアプローチを用いて、不定詞が従来の研究で想定されているよりも小さな句を形成する場合があるという仮説を立て、研究を行った。 具体的には、不定詞句がvPよりも小さな構造を持つ場合として、前年度から継続しているsein(英:be) + zu(英:to)不定詞構文の分析のほか、zu不定詞がbleiben(英:stay/remain)やbekommen(英:get)と結びついた構文の分析を行った。 sein + zu不定詞構文では、受動化により抑圧された動作主項がfuer(英:for)-PPで表される場合がある。本研究はこのfuer-PPを嗜好述語(predicates of personal taste)などの評価者依存的な述語において現れる経験者項と分析し、fuer-PPが現れる場合と現れない場合では、不定詞句の大きさが異なると主張した。また、sein + zu不定詞構文と同じく受動文的・モダリティ的意味を示すbleiben+ zu不定詞構文については、sein + zu不定詞構文との相違点を、bleibenという動詞の語彙的性質がこの構文においても保たれていると想定し、分析を行った。最後に、bekommenを含む構文では、この構文におけるbekommenとzu不定詞の語彙的意味の密接な結びつき方を、Ramchand(2008)が提案した不完全連結(“underassociation”)という操作を用いて分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまであまり理論的な分析がなされてこなかったbekommen + zu不定詞構文について、sein + zu不定詞構文と共通の枠組みで新たな分析を提示し、国際学会で発表することができたのは大きな成果である。同様にbleiben + zu不定詞構文についても、先行研究が少ない構文について経験的・理論的な貢献ができたと感じている。一方で、この構文におけるbleibenの統語的位置づけについては、確かな分析を提案することができなかったため、今後の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
sein + zu不定詞構文とそれに関連する構文の分析で用いた枠組みに基づき、長距離受け身構文の分析を修正する。また、この枠組みのもとで、結束的不定詞句と支配動詞の関係や支配動詞が機能的か、語彙的かという違いを再解釈する。
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Research Products
(7 results)