2023 Fiscal Year Annual Research Report
脳磁図による多感覚刺激応答の評価およびブレインコンピュターインターフェースの開発
Project/Area Number |
22KJ0689
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 史奈 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 脳磁図 / 多感覚刺激 / 逆問題推定 / 脳波 / Brain-computer interface / 拡張現実 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、BCIにおいてユーザの意図の判別に用いるミリ秒単位の応答を非侵襲的に計測・評価し、刺激の提示方法、電極の配置方法、応答の解析方法を検討することで、BCIの精度向上を目指した。 研究の第一段階では、脳磁図から明確な境界を持つ活動領域を推定する手法に対し、解剖画像に基づいて制約条件を導入する手法を検討し、単一の領域における活動を評価する手法を開発した。本手法を聴覚刺激に対して聴覚野において発生する応答に適用した結果、注意によりミリ秒単位で活動領域が広がる可能性が示された。 第二段階では、第一段階で開発した手法を適用し、BCIにおいてユーザの注目した刺激に対して発生する応答(P300)を評価する手法を検討した。P300は大脳皮質の複数領域で発生する応答であり、応答の個人差を理解することで、BCIにおける分類器の精度や汎化性の向上が期待される。脳磁図を用いて視聴覚刺激に対する応答を計測し、逐次的に活動源を推定した。その結果、より活動が大きい領域に対して先に制約をかけた場合に、推定精度が高く、着目した領域に推定される割合が高かった。今後、脳磁図から活動源を推定する手法を発達させることで、より精度の高い電位計算が可能となり、電極配置の最適化に役立つ可能性がある。 第三段階では、視聴覚刺激を適用し、ARゴーグルと仮想音源を用いて車椅子BCIを開発した。視覚の選択肢は、ARゴーグル上の仮想マーカ、聴覚の選択肢は、仮想音源の音とした。応答の解析方法については、感覚の種類ごとに異なる分類器を用いることで、分類精度が向上した。オンライン解析の結果、視覚の選択肢については7名中7名、聴覚の選択肢については7名中6名の被験者が、チャンスレベルより高い精度で選択できた。開発したシステムは1回の計測で任意の位置や方向へ前進や回転が可能であり、車椅子BCIの直感的な操作が可能となった。
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