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2022 Fiscal Year Annual Research Report

近世神聖ローマ帝国における裁判制度の展開―帝国宮内法院への学識者の関与を中心に

Research Project

Project/Area Number 22J00737
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

鈴木 山海  東京大学, 法学政治学研究科, 特別研究員(PD)

Project Period (FY) 2022-04-22 – 2025-03-31
Keywords近世ドイツ史 / 神聖ローマ帝国 / 帝国宮内法院 / 学識法曹
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、1つめの作業として、帝国宮内法院を結節点とする学識者のネットワークの解明のために、1650~80年に同法院に勤務した学識者の来歴の整理を行った。帝国宮内法院の裁判官、ならびに訴訟代理人については、1940年代に行われたOswald von Gschliesserのプロソポグラフィ研究によって、勤務者名と勤務期間があるていど明らかにされている。しかしながら、来歴や出自が明らかでない者が多く、本年度はこれらの人員の来歴調査を行った。また、これらの情報を解析するに先立って、歴史学におけるネットワーク分析の手法について習熟するため、国内外の研究実践を参照した。デジタル技術を活用した歴史学研究、すなわちデジタル・ヒストリーは、近年活発に学際的な研究手法の開拓が進められている。本研究ではとくに、ネットワーク分析に特化した歴史家ワークショップThe Historical Network Research Communityの成果を参考に、近世期の知的エリートが形成したコミュニティを分析するための、研究手法の開発を進めた。
2つ目の作業として、同時期に帝国宮内法院に係属した裁判事例について、オーストリア国立文書館での史料調査を実施した。本研究では、学識者のネットワークが、帝国宮内法院の裁判実務に及ぼした影響を検証するため、ハルバーシュタット市のドミニコ会修道院が、領邦君主であるブランデンブルク選帝侯に対して起こした、税の徴収をめぐる「ハルバーシュタット対ハルバーシュタット」事件(1672~80年)の分析を行う。本件では、帝国宮内法院や訴訟当事者の依頼を受けて、複数の大学の法学部が鑑定意見書を作成している。本研究は、これら鑑定意見書の内容分析に加えて、大学法学部と帝国宮内法院の間の人的結合関係を明らかにすることを目指すものであるが、そのために必要な史料をほぼ収集することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

帝国宮内法院構成員の出自、経歴調査にやや遅れが生じている。先行研究では、騎士身分以上の裁判官については、あるていどの来歴が明らかにされているものの、学識法曹の多くを占める平民身分の者については、不明な点が多い。こうした下位身分者の情報は、二次文献からの収集が難しく、オンライン上で公開されている関係史料もまた、想定より少なかった。そのため、現地におけるさらなる調査が必要である。
また、こうした遅れを受けて、ネットワーク解析の後に行うことを予定していた裁判事例の分析を、先行して進めている。新型コロナウィルスの流行が落ち着いてきたことから、オーストリア国立文書館での史料調査が可能となり、裁判記録の収集と分析については順調に進んでいる。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究推進方策として、第1に、帝国宮内法院に勤務した学識法曹、ならびに鑑定意見書を作成した大学の法学者らの経歴を明らかにするため、オーストリア、ドイツ両国の文書館や、大学図書館での史料調査を実施する。具体的には、帝国宮内法院関係者の勤務記録や、各大学の在籍者名簿を収集する予定である。また、新型コロナウィルスの再流行等により、現地への渡航が困難となった場合には、所蔵館に史料の複写を依頼する。
第2に、「ハルバーシュタット対ハルバーシュタット」事件について、鑑定意見書をはじめとする裁判記録の分析を進め、帝国宮内法院の内外における学識法曹の人的つながりを明らかにするとともに、裁判実務と法学理論の相互関係について考察する。

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Published: 2023-12-25  

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