2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22J01197
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
団 陽子 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 中華民国 / 賠償放棄 / 東アジア国際関係 / 米華関係 / 日華関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、日本の戦後賠償や東アジア政策に関する米華両政府の一次史料の調査(主に1940年代から1950年代)を中心に取り組み、それらの史料の収集と整理を実施した。具体的には、台湾の中央研究院近代史研究所、国史館、中国国民党文化伝播委員会党史館、米国のトルーマン大統領図書館、フーバー研究所等にて調査を行った。台湾での調査では、賠償問題、安全保障、対米・対日政策に関連する史料を閲覧し、必要な史料を収集した。この調査では、中華民国政府の対外世論的取り組みに関する資料の収集や戦後処理関係者に関する情報が得られるなどの成果があった。これらの史料をもって、戦後処理の言説形成に関する中華民国政府の意図を探る手がかりとしたい。米国の調査では、トルーマン大統領が対日戦後処理、対華政策の決定においてどのような資料を目にしていたのか、蒋介石(文字化けのため「蒋」で入力)が対日戦後処理、米華関係においてどのような葛藤を抱えていたのかなどを知ることができた。また、台湾の調査で得た手がかりをもとに、今回の米国での調査では蒋経国の動向を調査対象に加えることができた。このことは研究の新たな発展を促すものであったとみている。いずれの調査も今後の研究にとって非常に有意義なものであった。以上、これらの史料の収集と整理に加えて、中華民国の対日「賠償放棄」言説の形成を考える上で踏まえておくべき対日戦後処理の国際機関、極東委員会における賠償問題をめぐる認識と国際関係について学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、東アジアの国際秩序の形成と変容にかんする文献史料調査(主に1940年代、50年代)を中心的に取り組みつつ史料分析と学会発表を実施した。コロナ感染症による渡航にかかる措置の緩和が年度後以降になってしまったため、本年度に予定していた1940年代、50年代の文献史料調査の一部が次年度に繰り越される予定である。現在、年度後半に収集した史料の整理と分析を継続して行っている。これらの整理、分析を進めて、次年度の調査の調整を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
二年目は、昨年度にカバーできなかった1940年代、50年代の文献史料調査の一部と1960年代の東アジアの国際秩序の形成と変容に関する文献史料調査、及び同時期のメディア関連の調査を中心に実施する。具体的には、米国の国立公文書館、議会図書館、プランゲ文庫にて、対華・対日政策文書やメディア関連の資料収集を予定している。また、台湾では、国史館、中央研究院近代史研究所にて国際関係に関する史料調査、国立台湾図書館や国立台湾大学にて新聞・雑誌などのメディアにおける言説の調査を予定している。加えて、日本における新聞・雑誌などのメディアにおける言説の調査を並行して実施する。同時に、これらの文献調査の成果の発信に取り組んでいきたい。
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Research Products
(2 results)