2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22J10043
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 広人 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | information design / 情報設計 / 制度設計 / ゲーム理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
情報の流し方を設計することで経済主体がとる行動に影響を与える、という枠組みを分析する情報設計理論の中でも、特に時間を通じて情報を流す動学的情報設計の分析を行なった.。Bergemann and Morris (2016)以降静学的な情報設計は盛んに分析されてきたが、動学的情報設計はDoval and Ely (2020)を除くとほとんど包括的な分析が進んでいない。 そのため、特に応用上重要な戦略的補完性のある状況下で、ある特定の行動をより多く経済主体に取らせたいという目的関数に焦点を当てた分析を行った。また、静学的情報設計で近年盛んに議論されている、行動主体による均衡選択に対して頑健な遂行を、当該分野で初めて動学的情報設計の枠組みで分析した。具体的には、目的関数に対して均衡が複数存在する場合別の均衡が選ばれてしまうかもしれない、という危惧に対して頑健に結果を遂行するための動学的な情報の流し方のうち、最適なものを特徴づけた。この結果は、静学的情報設計のにおいて均衡選択に対して楽観的な遂行での最適な結果と一致していることが明らかになり、時間を通じて情報を流すことの、新たな性質の発見へと繋がった。
さらに、情報設計理論を現実問題に役立てるために、学校選択等を分析するマッチング理論や消費者探索などを分析するサーチ理論に、情報設計理論を応用するための手掛かりを得た。これらの手掛かりをもとに、マッチング理論とサーチ理論への応用理論研究を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた動学的情報設計における完全遂行のうち最適な結果の導出、に関しては分析範囲をやや狭める代わりに応用上重要かつ当該分野で盛んに分析されている設定に注目することで、想定より早く分析を終えた。
また、現実社会の特定の問題に対して情報設計を応用しようという応用分析に関して、特にマッチング理論とサーチ理論において分析の手掛かりを得ることができたため、本格的に応用研究の分析を開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始時に挙げていたうちの後半部分である、応用研究をメインとして進める方針である。特に、マッチング理論やサーチ理論に精通している研究者にアドバイスやコメントをもらい、場合によっては共同研究者として分析に参加してもらいながらそれらの応用理論研究を進展させる。
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