2022 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical study on non-targets of welfare policy: Labor market exclusion of people with health problems
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22J10114
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
百瀬 由璃絵 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 社会政策のはざま / 社会的排除 / 剥奪 / グレーゾーン / 障害 / メンタルヘルス / ライフコース研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、社会保障・福祉政策と労働・雇用政策との間の「社会政策のはざま」で見過ごされてきた心身に不調がある人々が、日本社会にどの程度おり、どのような困難をどのように抱えているのか、またその心身の不調をもたらしている要因は何であるのかを計量的に可視化した。 具体的には、社会保障・福祉政策の1つである障害者福祉制度の対象になっておらず、労働・雇用政策の対象となる在学中を除く60歳未満の稼働年齢層に着目した。日本全国を対象とした公的統計を含む社会調査データから、これらの年齢層で心身に不調がある人々の実数を把握した。さらに、その人々が異なる複数側面の困難、すなわち、はく奪や社会的排除(経済的側面・社会的側面・政治的側面・文化的側面)をどのように抱えているのかを明らかにした。そのうえで、その人々の異なる複数側面の困難が現在の健康状態にどのように結びついているのかを解明した。 上記の研究に関連して、本年度は、8件(うち国際学会・国際会議5件)の報告を行い、6件の論文 (うち査読2件)などを発表した。なお、今年度実施予定であった研究が当初の計画よりも迅速に遂行することができたことから前倒し使用申請の交付を受け、次年度に計画していた独自調査を本年度内に実施することが可能となった。 以上の通り、ライフコースにおける複数かつ長期的な不利益の解明を通して、日本社会で見過ごされてきた人々に対する社会政策や社会保障のあり方を模索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度実施予定であった研究が当初の計画よりも迅速に遂行することができたことから前倒し使用申請の交付を受け、次年度に計画していた独自調査を本年度内に実施することが可能となった。そのため、2022年度内から独自調査の分析等が始められており、当初の計画以上に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、2022年度から取り組んでいる統計法33条申請に基づいた公的統計データと独自調査の分析を進め、投稿論文の執筆に力を注ぐ。その成果は、日本教育社会学会(2023.9,青森)、日本社会学会(2023.10,東京)、社会政策学会(2023.10,京都)、数理社会学会(2023.9,未定;2023.3,未定)などでの学会報告や情報交換を通し、より精査していく。
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