2023 Fiscal Year Annual Research Report
The Empirical Study on the Non-Targets of Welfare Policies: Focusing on Labor Market Exclusion due to Health Problems
Project/Area Number |
22KJ0770
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
百瀬 由璃絵 東京大学, 社会科学研究所, 特任助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 社会的排除 / 剥奪 / 安定労働に隠れた社会的排除 / 社会的孤立 / 学校でのいじめ / 子ども期の家庭 / グレーゾーン / 健康格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、6件(うち国際学会・国際会議5件)の報告を行い、2件の論文 (うち査読1件)を発表したまたは発表することが確定した。なお、本研究は研究活動スタート支援(23K18830)が年度途中で採択されたため、重複受給ができないという規定に則り、本研究を途中辞退することになった。 そのため、本研究期間は1年半と短縮されたが、研究期間全体を通じて計14件(うち国際学会・国際会議10件)の報告を行い、8件の論文 (うち査読3件)を発表した。 上記の成果は、社会保障・福祉政策と労働・雇用政策との間の「社会政策のはざま」で見過ごされてきた心身に不調がある人々が、日本社会にどの程度おり、どのような困難をどのように抱えているのか、またその心身の不調をもたらしている要因は何であるのかを計量的に可視化するという大きな課題を明らかにするために行われた。 本研究では、第1に、社会保障・福祉政策の1つである障害者福祉制度の対象になっておらず、労働・雇用政策の対象となる在学中を除く60歳未満の稼働年齢層に主に着目した。第2に、日本全国を対象とした公的統計を含む社会調査データから、心身に不調がある人々の実数を把握した。 第3に、日本社会における社会的排除の状況を明らかにした。社会的排除は、多次元と動態性の2つの特徴を併せ持つ概念であり、この概念を用いることで異なる複数側面の困難の長期的な影響を理解することにつながる。多次元として、本研究では、経済的側面(就業状況・相対的貧困・物質的剥奪・主観的貧困)、社会的側面(社会的交流・社会参加・社会的サポート)、政治的側面(政治無関心)、文化的側面(階層帰属意識)などの、ライフコースにおける4 つの社会的排除の側面に注目した。
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