2022 Fiscal Year Annual Research Report
MRI を用いた人体内部の磁場再構成および電気特性再構成への応用
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22J10512
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江田 尚弘 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 電気特性画像化 / MRI / 非計測磁場 |
Outline of Annual Research Achievements |
MRI を用いて人体内部に生じた磁場を計測し, 物理法則に基づく方程式を解くことで人体内部における電気特性を画像化する, Magnetic Resonance Electrical Properties Tomography (MREPT) において MRI で計測可能である磁場情報は B1 磁場と呼ばれる磁場ベクトルの一成分のみである. 一方で, 人体内部には MRI で計測不可能な磁場成分も発生しており, これを考慮して電気特性を推定することができれば推定精度が向上することが期待される. 本研究では, 磁場が満たす物理法則を用いることで計測された B1 磁場から現状の計測方法において計測不可能な磁場を計算によって復元する手法を開発し, 復元された磁場を電気特性画像化に応用する. 本年度では, まず磁場推定アルゴリズムの理論を構築した. 具体的には, 磁場ベクトルが満たすべき Gauss の法則と計測された B1 磁場成分に関する拘束条件の二つの条件を満たすようなベクトル場を求めることで, 非計測磁場成分を含む磁場ベクトル全体を再構成する手法を開発した. その後, 有限要素法を用いた数値シミュレーションによって提案した手法によって推定された磁場を評価した. また, 推定した磁場を応用することによって, 計測不可能な磁場を無視する従来の電気特性画像化手法と比較して電気特性画像の精度が向上することが確認された. 最後に, 生体組織を模した電気特性を持つように作成した生体ファントムに対して実際に MRI を用いて撮像を行い, 得られたデータに対して開発した手法を適用した. 得られた結果から実際の撮像データに対しても電気特性画像化について改善があることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに, 磁場ベクトルが満たすべき物理法則である Gauss の法則と, 計測量である B1 磁場成分を固定する拘束条件の二つの条件を満たすようにベクトル場を求めることで計測不可能な磁場成分を含む磁場ベクトルを再構成する手法の開発し, 有限要素法を用いた数値シミュレーションおよび生体を模したファントムに対する実験データに対して開発した手法の有効性を評価している. これはおおむね研究計画に沿って進展している. 一方で, 数値シミュレーションによって再構成アルゴリズムに由来する誤差が磁場に生じることが確認され, MRI を用いた実験によって計測される B1 磁場に由来する誤差が生じることが確認された. 上記誤差の解消は次年度の課題である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方策として, 以下の三点が挙げられる. まず一点目として, 現在の理論を拡張することで従来の磁場再構成アルゴリズムに由来する磁場の再構成誤差を軽減する手法を提案し, 数値シミュレーションによって改善を評価する. 二点目として, 条件を変更しつつ MRI を用いた実験を複数回行い, 計測される B1 磁場に由来する誤差を評価する. その後, 推定磁場に対する正則化などを用いて誤差の低減に取り組む. 最後に三点目として, 被験者に協力していただいて MRI を用いた in vivo データの撮像実験を行い, 提案する磁場推定手法の臨床応用への実現可能性及び有効性を評価する.
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