2022 Fiscal Year Annual Research Report
Developing innovation medicals to improve plant photosynthesis and production
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22J11072
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
QU YUCHEN 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | ケミカルスクリーニング / 環境ストレス耐性 / 光合成向上 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度、様々な植物種やストレス処理方法、また、化学処理方法に基づき、複数の化合物スクリーニングシステムを構築した。これらのシステムを利用して、1万3千種類の化合物ライブラリーのスクリーニングを実施した。その中で、高温ストレスと強光ストレスに対して保護効果のある化合物を複数得ることに成功した。 特に、タバコを用いた実験系では、強光ストレスに対して保護効果を示す33種類の化合物を同定した。これらの化合物を処理したタバコ葉では、強光処理でも高い光合成活性を維持していることを明らかにした。また、in vitroでの実験系から、これらの化合物のいくつかにおいては、ストレス環境下で余分な還元力を除去する働きを持つことを明らかにした。これらの化学物質は、シロイヌナズナを含む異なる植物種においても同様の保護効果を持つことを明らかにした。 本研究では、(1)光合成の可視化装置を用いて、化合物スクリーニングを行う評価系を新たに確立し、(2)3万5千種以上の化合物ライブラリーを対象に大規模スクリーニングを行い、高温環境における光合成を制御する因子を網羅的に解明する。得られた知見から、近未来に予想される温暖化環境で優れた生産性を示す作物の創出に向けた分子育種戦略のデザインを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析系を用い、3万5千種の化合物スクリーニングを行い、高温環境において光合成やバイオマス向上のための基本骨格となるリード化合物の選抜を行いました(化合物は入手済み;Maybridge Chemical Co., Ltd., UK)。光合成を促進する化合物を単離できて、それら候補化合物について、先行研究によって薬剤探索で得られた情報が蓄積されたデータベース”Pub-Chem”を活用し、同定した化合物やその類縁体の情報を取得しました。
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Strategy for Future Research Activity |
次に、同定化合物を処理したイネ葉を対象に、トランスクリプトーム解析やプロテオーム解析により発現プロファイルが変化する遺伝子とタンパク質を網羅的に同定する。また、イネやシロイヌナズナの変異体ラインから化合物の効果が消失・亢進する変異体をスクリーニングし、原因遺伝子を同定する。本計画は、ケミカルバイオロジーの分野において世界的な権威である浅見忠男教授と中嶋正敏准教授(東京大学)と共同研究を実施する。 また、データベースを活用し、同定した化合物や類縁体の情報を取得する。化合物を処理したシロイヌナズナやイネを対象にトランスクリプトーム解析やプロテオーム解析を行い、発現プロファイルが変化する遺伝子とタンパク質を網羅的に同定する。さらに、シロイヌナズナのT-DNAタグラインとイネのTOS17タグラインから化合物の効果が消失・亢進する変異体をスクリーニングし、原因遺伝子を同定する。以上を通して、化合物が標的とする遺伝子やタンパク質を明らかにすることにより、その作用機作を網羅的に明らかにする。また、イネを自然光利用型温室内で土耕栽培する。幼苗段階で同定化合物を複数の異なる濃度、間隔で連続的に処理し、光合成活性やバイオマスを測定する。以上により、各作物種の光合成やバイオマスに対する化合物の効果を検証するとともに、その効果を最大化する最適な化合物施用法を検討する。
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