2023 Fiscal Year Annual Research Report
心臓の発生と組織修復におけるマクロファージを中心とした多細胞間連携機構の解明
Project/Area Number |
22KJ0794
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
来田 真友子 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | マクロファージ / 心臓発生 / 神経堤細胞 / リンパ管 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓は様々な組織に由来する複数の細胞群により形成される臓器であり、その発生の過程において免疫細胞であるマクロファージ(MP)が出現することが報告されている。MPには様々なサブタイプが存在することや、組織修復に寄与する組織常在型MPの多くが胎生期由来の組織に由来することを考慮すると、発生期心臓MPは骨髄由来の炎症型MPよりも組織常在型MPに近い性質を持っているのではないかと考えられた。当研究室にて、MPは神経堤細胞(NCCs)が主に分布する領域に寄与すること、マウス胎仔心臓由来NCCsのscRNA-seq解析から一部のNCCsがMP誘導因子を発現していることが判明したことから、我々はMPとNCCsの関係に着目し両者が心臓発生において担う役割を探索した。 遊走前の前耳胞神経堤細胞(preotic NCCs)を除去した鳥類胚を作出すると、除去胚では心臓内MPの分布が変化し、心臓表面に走行する冠血管・リンパ管の異常な走行を認めた。異常なリンパ管の伸長予定領域ではMPが有意に減少していた。一方、全身性のMP誘導因子(Csf1)変異マウスでは冠血管の分岐異常が報告されており、クロドロン酸の投与により作成したMP減少ウズラ胚でもリンパ管の走行異常が認められた。NCCs除去鳥類胚と、MP減少マウス・ウズラ胚での表現型は脈管の分岐・伸長異常という点で類似しており、NCCsとMPの両者を介した脈管形成制御機構の存在が仮説立てられた。 発生期縦隔領域に寄与するCsf1r-lineage細胞のscRNA/ATAC-seq解析では、MPの多様なサブセットとともに心外膜様の遺伝子発現パターンを呈する細胞や未分化ミエロイド系細胞の存在が明らかとなり、NCCsがMPの分化・誘導を制御することで脈管の形成に関与している可能性や発生期心臓内におけるMPが他の細胞と連携して心臓発生に寄与していることを示した。
|