2023 Fiscal Year Annual Research Report
難治性急性骨髄性白血病におけるEVI1遺伝子過剰発現メカニズムの解明
Project/Area Number |
22KJ0806
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林田 裕樹 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | EVI1 / 骨髄性白血病 / 転写制御 / ZFP91 |
Outline of Annual Research Achievements |
EVI1遺伝子の発現制御因子について解析を進めた。全ゲノムCRISPR/Cas9スクリーニングで同定したEVI1の制御因子のうち、複数の骨髄性白血病細胞株で共通してEVI1遺伝子の発現を増加させる因子としてZFP91が抽出された。ChIP-seq公開データにより、ZFP91はEVI1プロモーター領域に結合する転写因子であることが示唆された。ZFP91ノックアウト細胞とコントロール細胞で、RNA-seq、ChIP-seq、ATAC-seqを行ったところ、ZFP91ノックアウトは、EVI1プロモーター領域における活性化ヒストン修飾やクロマチンアクセシビリティを有意に低下させ、EVI1のmRNA発現を著しく低下させた。ZFP91ノックアウトで同様のエピジェネティック変化と発現低下を示す他の遺伝子は少なく、ZFP91が一部のEVI1高発現骨髄性白血病においてEVI1のマスター制御因子となっている可能性が示唆された。 ZFP91はNF-κB、HIF-1、MAPKなど様々な腫瘍関連経路に関与し、アポトーシス阻害作用、細胞増殖促進作用を有することが報告されている。近年様々な癌種においてZFP91について研究が進められているが、EVI1との関連性についてはこれまで報告がない。EVI1遺伝子高発現は急性骨髄性白血病の8-10%を占める予後不良病型であり有効な治療法に乏しいことから、その過剰発現のメカニズム解明が求められている。本研究において新たに同定したZFP91とEVI1の関係についてさらに詳しく調べることで、EVI1過剰発現の急性骨髄性白血病における新たな治療標的の開発に繋がる可能性がある。
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