2022 Fiscal Year Annual Research Report
How angiogenic factor induces immunosuppressive cells to tumor microenvironment
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22J11751
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横田 翔平 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | MDSCs / CX3CL1 / VEGF / Canine / Tumor |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では犬の移行上皮癌を対象として、細胞株、担癌モデルマウス、腫瘍症例犬を用いて、血管内皮細胞成長因子 (VEGF) とケモカインの一つであるCX3CL1を介した骨髄由来免疫抑制細胞 (MDSCs) の腫瘍内浸潤機構について研究を進めている。 研究計画に記載した細胞株を用いた検証は概ね順調に進行している。現在までに、犬の移行上皮癌細胞株がVEGFおよびVEGFの受容体を発現することを確認した。そして、移行上皮癌細胞株にVEGFリコンビナントタンパクを添加すると、CX3CL1のタンパク質発現が上昇することを見出した。この結果から、犬の移行上皮癌では、VEGFによりCX3CL1産生が制御されている可能性が示唆された。 また、ゲノム編集により、移行上皮癌細胞株のVEGF受容体およびCX3CL1をノックアウトした細胞株を作製した。今後はこれらのノックアウト細胞株をヌードマウスに移植した担癌モデルマウスを用いて検証を進めていく予定である。 大学病院に来院した移行上皮癌症例を用いた検証も進めている。これまでに、健常犬と比較して移行上皮癌症例では尿中のVEGFおよびCX3CL1濃度が上昇していることを見出した。また、免疫組織化学により、CX3CL1は尿中だけでなく腫瘍組織でも高発現しており、発現が高いグループでは予後が有意に悪いことを見出した。これらの結果から、VEGFおよびCX3CL1は細胞株だけでなく、実際の臨床症例のレベルにおいても病態に寄与している可能性が示唆された。 今後は担癌モデルマウスを用いた検証を行うと共に腫瘍症例を使用した評価を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した実験を概ね遂行できているため。また、VEGFおよびCX3CL1ノックアウト移行上皮癌細胞株を既に作成しており、次の実験に取り掛かる準備ができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究計画に従い、担癌モデルマウスと移行上皮癌症例を対象とした実験を進めていく予定である。 具体的には、VEGF受容体およびCX3CL1ノックアウト細胞株を移植した担癌モデルマウスを用意し、腫瘍組織へ浸潤するMDSCs数の変化を評価する。また、臨床応用を想定して、VEGF受容体およびCX3CL1阻害薬の有効性を検証する。これらの分子阻害薬をwtの移行上皮癌細胞を移植した担癌モデルマウスに投与する。腫瘍組織へのMDSCs浸潤数と腫瘍体積を評価し、こららの分子阻害薬がMDSCsの浸潤抑制を介した抗腫瘍効果を発揮するか検証する。 腫瘍症例を対象とした実験としては、外科的に摘出した組織を用いて、腫瘍組織中のMDSCs数とVEGFおよびCX3CL1発現に関連が認められるか検証する。また、担癌モデルマウスでVEGF受容体およびCX3CL1阻害薬の有効性が認められた場合、腫瘍症例に対してもこれらの分子阻害薬が有効性を示すか検証する予定である。
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