2023 Fiscal Year Annual Research Report
ミリメートル厚の透明・高強度ナノセルロース構造材料の形成と固体電解質への機能展開
Project/Area Number |
22KJ0887
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石岡 瞬 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | セルロースナノファイバー / 耐水化 / イオン液体 / 熱成形 |
Outline of Annual Research Achievements |
①TEMPO酸化セルロースナノファイバー (CNF) 表面のカルボキシレート基の対イオンを、1価のナトリウムイオン (Na) から4価のジルコニウム (Zr) イオンと交換し、CNFのみからなる板材の耐水性を向上させることを試みた。Na型では2000% w/w以上吸水した一方で、Zr型のCNF板材の平衡吸水率は約30% w/wであり、吸水率を劇的に低減させることに成功した。加えて、メチルトリメトキシシランを用いて、Zr型CNF 板材の表面を疎水化すると、表面は撥水性を示し、平衡吸水率はさらに低下した。以上より、対イオン交換・構造体表面の疎水化により、CNF材料の吸水率を劇的に低減できると実証した。 ②CNFのカルボキシ基の対イオンとして、イオン液体 (IL) のカチオンであるテトラオクチルアンモニウム (N8888) あるいはテトラオクチルホスホニウム (P8888) を導入することで、熱成形性の付与を試みた。IL型CNF (CNF-IL) のシートに対し動的粘弾性測定を行うと、昇温に伴い貯蔵弾性率 (E’) が大きく減少し、ILカチオンの導入によりCNFを熱軟化させることに成功した。また、CNF-IL間で比較すると、中心元素が大きい、P8888型CNFのE’の方が減少した。CNF-ILシートのイオン伝導率を測定すると、いずれのシートも昇温と共にイオン伝導率が上昇した。また、N8888型と比べ、P8888型CNFシートのイオン伝導率が高く、よりCNFカルボキシ基からの拘束力が小さいことがわかった。このことから、CNFの貯蔵弾性率を低下させるには、CNFからのイオン拘束性の弱いカチオンを導入することが効果的であると示唆された。P8888型CNFシートを熱圧成形することで、凹凸構造を有する厚材が形成でき、ILカチオンの導入によりCNFの熱成形が可能となることを実証した。
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Research Products
(8 results)
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[Book] 月刊ファインケミカル 2023年8月号2023
Author(s)
能木雅也, 小林加代子, 工藤正樹, 王冠瞳, 塩見淳一郎, 石岡瞬, 関根由莉奈, 森川豊, 伊藤雅子, 野々村文就, 伏見速雄
Total Pages
78
Publisher
シーエムシー出版
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[Patent(Industrial Property Rights)] 難燃性材料及び難燃性シート2023
Inventor(s)
後居洋介, 伊藤圭樹, 齋藤継之, 藤澤秀次, 石岡瞬, 張昊果
Industrial Property Rights Holder
後居洋介, 伊藤圭樹, 齋藤継之, 藤澤秀次, 石岡瞬, 張昊果
Industrial Property Rights Type
特許
Industrial Property Number
2023-202463
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