2022 Fiscal Year Annual Research Report
感情的落涙の規定因及び適応的帰結に関わる統合的研究―自己観の個人差の視座から―
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22J12850
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 悠紀子 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 涙 / 感情 / 自己観 / 日本 / アメリカ / Web調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
初めて涙に心理学的にアプローチしたDarwin(1872)以来,感情的な刺激に反応して涙を流すこと(感情的落涙)は,人に固有の行為であると考えられ,人の適応に繋がる涙の機能(効果)の検証が進められてきた。しかし,従来はネガティブ場面での涙の普遍的な機能(e.g.,援助の引き出し)を問うものが多く,「涙がどのような場面で心理生理的及び社会的機能を有するのか」という人の適応性に関わる涙の機能(課題1)や「どのような個人が,どのような場面で涙を流しやすいか」という涙の生起の個人差(課題2)に関しては殆ど研究が進んでいなかった。本研究では、他者との関係における自己の捉え方を意味する文化的自己観(相互独立的自己観/相互協調的自己観)の個人差の視座から課題1・2を明らかにする。具体的には,自己観が反映された特定の落涙場面で,特定の自己観を有した個人が落涙に対してどのように反応するのかを解明し、課題1を解決する。そして、落涙の類型化及び自己観との関連を解明し、課題2を解決する。今年度は、先行研究を整理し、個人差や文脈の違いに着目した落涙の生起と機能に関する総説論文を執筆した。加えて、課題1に対して、自己観を反映した落涙場面を複数作成し、予備調査を実施した。予備調査の結果を踏まえ、再度刺激を作成した。来年度は、日米のサンプルからデータを収集・分析し、論文として発表するとともに、課題2にも着手する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備調査の結果を踏まえ、再度、刺激作成を行ったため
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Strategy for Future Research Activity |
来年度に課題1のデータ収集を行い、データ収集が完了次第、分析を進める予定である。分析が完了次第、論文化や学会発表の準備を進めることとする。また、課題2にも着手する。
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