2022 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of cosmic inflation by CMB polarization modulator with laser ablated moth-eye structures
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22J13975
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高久 諒太 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | CMB / 半波長板 / 広帯域反射防止 / レーザー加工 / テンソル・スカラー比 |
Outline of Annual Research Achievements |
CMB偏光観測衛星LiteBIRDのためのモスアイ構造付サファイア半波長板の光学的評価を行い、透過率及び変調効率の広帯域化が実現できていることを実測にて示した。その内容をまとめた論文をJournal of Low Temperature Physicsへ投稿し、出版された。また、そのモスアイ構造のさらなる改善案として、モスアイ構造自体に異方性を付与することで、モスアイ構造を反射防止としてだけでなく波長板のとしての機能の一部も担うようにする設計を提案した。結果としてモスアイ構造の異方性が作り出す位相差には周波数依存があることがわかり、本来サファイアが持つ複屈折性を助長する方向に異方性を付与した場合は半波長板としてさらに広帯域化を実現できることを示した。さらに異方性を助長することで半波長板としての厚みも低減させることができるため、質量に制限がある衛星計画、特にLiteBIRD計画における軽量化にも貢献することができる。異方性を大きくすることで懸念される、変調信号の系統誤差成分は異方性起源の成分に対して透過率そのものが起源の成分の方が支配的であることが予測できたため、LiteBIRDの科学目標に対して系統誤差成分が懸念される場合は、透過率の改善に重きを置くべきであると考察できる。 そして、測定にて得たサファイア半波長板の性能をもとに、LiteBIRDが目標とするテンソル・スカラー比推定の見積もりも行った。結果として反射防止を行なったことで感度を2倍改善し、反射のない理想的な波長板で観測を行なった場合に推定されるテンソル・スカラー比の誤差に十分等しいだけの性能になっていることを確認した。今後複雑な観測モデルや系統誤差成分を含めた時系列データを仮定した同様の推定を行うことで、開発した波長板の評価をより詳細に行なっていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
半波長板の一様性評価や光学性能の評価は順調に進行しており、宇宙論シミュレーションも予定に対して先駆けて進行している。一方低温測定評価は予定に対してやや遅れており、今後回転機構と組み合わせた試験にも注力する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
モスアイ構造を付与した大面積サファイア多層半波長板作製と回転機構を組み合わせた偏光変調器を大型クライオスタットにて冷却し、熱的・光学的評価を行う。得られた性能を用いて現在開発中のテンソル・スカラー比推定シミュレータに組み込み、統計的・系統的な観点から誤差の見積もりを行い科学目標を十分満たすことを示す。
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