2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Ultra-short Pulsed Laser Micro-precision Processing Technology by High-speed Stress Control
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22J14175
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
服部 隼也 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | レーザ加工 / 微細加工 / 超短パルスレーザ / 干渉計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,硬脆材料への超短パルスレーザ微細加工において,加工に用いる超短パルスレーザの強度分布を時空間的に変調することにより,材料内部に生じる超短パルスレーザ誘起応力波の応力分布を制御し,加工中に発生するダメージを抑制する加工手法を提案・実証することである.応力波の応力分布を制御するためには応力分布を計測する手法が必要であるため,時間分解マッハ・ツェンダー干渉計を用いたフェムト秒レーザ誘起衝撃波の3次元的な空間プロファイル計測の開発を行った.本計測手法を用いて得られた応力波のプロファイルを用いて有限要素法応力波伝搬シミュレーションを較正することで,フェムト秒レーザ誘起応力波の時空間的なふるまいを明らかにした.これらの計測手法とシミュレーション手法を用い,硬脆材料に対するフェムト秒レーザ微細穴あけ加工時の衝撃波によるクラック発生メカニズムの解明を行った.これによって得られた知見に基づいて,新しいクラックレスな超短パルスレーザ微細穴あけ加工法の提案・実証にも取り組んだ.パルスエネルギの時間変調を行うことで加工穴先端におけるフェムト秒レーザ誘起衝撃波の発生および,新たなクラックの発生を抑制し,硬脆材料へのフェムト秒レーザ微細穴あけ加工時の大幅なクラック低減を実現した.次年度以降は,超短パルスレーザの時空間プロファイルを高速に変調,最適化する技術の開発を進めることで,さらなるクラック低減や穴あけ加工以外の微細加工に対しての応用を進めていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度前半は米スタンフォード大学に客員研究員として研究留学し,スペクトラムドメイン位相分解光干渉断層法を用いた網膜レーザ治療時の網膜温度計測実験に携わり,レーザ干渉計を用いたレーザ加工現象の計測手法の最先端の技術を学んだ.2022年度後半の帰国後は留学中に学んだ計測技術を生かして,時間分解マッハ・ツェンダー干渉計および時間分解光弾性法を用いたフェムト秒レーザ誘起衝撃波の空間プロファイルの新しい計測手法の開発に取り組んだ.投影・圧縮された2次元の空間プロファイルから3次元の応力情報を復元する新たな手法を提案した.また,前年度までに得られていた,硬脆材料に対するフェムト秒レーザ穴あけ加工時のクラック発生メカニズムの知見に基づいた新しいクラックレスなフェムト秒レーザ穴あけ加工法の提案・実証にも取り組んだ.パルスエネルギの時間変調を可能にすることで,加工穴先端におけるフェムト秒レーザ誘起衝撃波の発生および,新たなクラックの発生を抑制することでクラックレスな加工を実現した.
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Strategy for Future Research Activity |
回折光学素子を用いることで,位相シフト光弾性に必要な4枚の画像全てをシングルパルスで1度に撮像できる光学系の開発を行う.これにより,クラックの発生などの再現性の低い現象に対しても,応力分布計測を行うことが可能になる. 動的な応力状態における軸対称応力分布再構築手法の開発を行う.光弾性計測で得られる応力情報は超短パルスレーザ誘起衝撃波の3次元の応力分布情報が投影・圧縮された2次元の情報である.そこで,応力分布が軸対称であるという条件を用いることで,2次元の情報から3次元の情報を再構築することができる.しかし,これまでに開発されてきた手法は全て静的な応力分布に対するもので,超短パルスレーザ誘起衝撃波のような動的な応力分布に対してはそのまま適用することはできない.そのため,動的な応力分布に対して用いることのできる新しい3次元応力分布再構築手法の開発を行う. 前年度においてパルスエネルギを3段階に変化させながら加工することにより,加工穴先端におけるクラック発生原因となる超短パルスレーザ誘起衝撃波の発生を抑制し,大幅にクラックを低減した穴あけ加工ができることを実証した.しかし,クラックが完全に無くなったわけではなく,さらなるクラック低減のためにはパルスエネルギの変調方法を最適化することが必要である.パルスエネルギの変調はこれまで手動で行ってきたが,音響光学変調器を用いることでパルスエネルギの変調を自動化・高速化し,理想的なパルスエネルギの変調を実現する. 今後,超短パルスレーザの時空間プロファイルを高速に変調,最適化する技術の開発を進めることで,さらなるクラック低減や穴あけ加工以外の加工に対しての応用を進めていく.
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