2022 Fiscal Year Annual Research Report
天文学を題材とする課題把握・俯瞰能力向上の為のVRを活用した教育プログラム開発
Project/Area Number |
22J14245
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福島 広大 東京大学, 学際情報学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | VR / 教育工学 / STEAM教育 / グローバル・イシュー / メディアコンテンツ / 環境教育 / 天文学 / 自然言語処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会や経済が急速に変化する現在、世界が一丸となって取り組むべき規模の課題が山積している。気候変動や森林破壊を始めとした地球環境に関するものから、経済格差や多様性受容を始めとした人間社会に関するものまで、諸課題は多岐に渡る。これらの課題解決には私達一人一人が自分事として捉え認識する事、また身の回りの情報を俯瞰し課題を把握する事が重要である。 本研究は地球環境や人間社会の俯瞰能力、及び課題把握能力の向上を目指し、VRを活用した教育プログラム開発を目的とする。巨視的規模まで包括的・学際的に扱う学問である天文学を題材とし、広い視点から社会を俯瞰すると共に、VRによる臨場感を活用し、地球規模の諸課題を自分事として認識し把握できる教育プログラムとする。本教育コンテンツ活用を通し、俯瞰能力および課題把握能力の向上を検証する上で、その評価基準および方法の開発も目的とする。 研究実施内容として、本研究を構成する「VR映像コンテンツ」開発では、Unityを用いて開発するとともに、ヘッドマウントディスプレイでの視聴環境構築や動作互換調整等を行った。評価手法では、リッカート尺度や記述式からなる設問を作成し、タブレット端末等にて電子入力で回答できる形とした。また実験参加者への説明文書や参加同意書、参加募集に関するフォーム等、各種資料を作成した。これらの実施事項を元に、倫理審査申請準備も併せて行った。 研究活動の推進と併せ、アウトリーチ活動として「東大駒場リサーチキャンパス公開2022」及び「第73回駒場祭研究室紹介ブース」では、子供から大人まで幅広い世代の方々に自身の研究活動について広く紹介した。加えて「東京大学 知能社会国際卓越大学院プログラム主催ポスターセッション」での研究発表を通して、自身の研究に関する質疑応答やディスカッションを元に、多角的視点からブラッシュアップを図る事ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では教育プログラムの開発を目指し、それを構成するヘッドマウントディスプレイでの視聴に対応した「VR映像コンテンツ」の開発を進めた。開発を進める上で、本研究の目的に即した内容を充実させるため、バーチャルリアリティを用いる強みを最大限に活かすべく、当該分野における先行研究を幅広く参考にした。例えば、臨場感を高めつつVR酔いの原因とされているベクション(視覚誘導性自己運動感覚)の抑制に配慮した映像進行や視聴環境を検討した。 また本研究を推進すると共に、実験参加者の目線に立った安全かつスムーズな実験デザインを実現すべく、自身もバーチャルリアリティ関連の様々な実験に被験者として参加した。これらの実験参加からは、実験実施に伴う安全性の確保に加え、バーチャルリアリティやヘッドマウントディスプレイの装着に日頃あまり慣れていないであろう実験参加者に対しても、スムーズな実験参加ができるよう様々なノウハウを得ることができた。 研究遂行と並行し、東京大学の主催する一般公開イベントなどを通して、多様な世代や属性からなる一般の方々に、自身の研究内容を紹介し、アウトリーチ活動に取り組んだ。加えて、ポスター発表での研究発表を通して、様々な専門分野の研究者より本研究に対する多角的なフィードバックを得ることができた。 以上のように、新型コロナウイルス感染症(COVID-19) による様々な影響やリスクを鑑みて、より安全かつ適切と考えられる実験方法を検討し、研究を遂行した。
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Strategy for Future Research Activity |
東京大学の設置する倫理審査委員会からの承認を得た後、参加者の募集を開始し実験を実施する。質問紙調査やインタビュー調査等、実験を通して得られたデータを元に、質的・量的調査の両面から、実験参加者にどのような影響を与えたか、解析・評価を行う。なお調査にて得られたデータに対しては、自然言語処理(テキストマイニング)や統計的検定等を行う予定である。 研究成果については、国内外での学会発表を通して広く発信し、またアウトリーチ活動の一環として、一般の方々への研究紹介も併せて実施する。査読付き学術誌への論文投稿を行うと共に、博士論文の執筆を進める。 ひいては本研究を通して開発された教育プログラムによる、次世代人材育成への貢献を目指す。
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Remarks |
「東大駒場リサーチキャンパス公開2022(東京大学駒場リサーチキャンパス)」ならびに「第73回 駒場祭(東京大学駒場キャンパス)研究室紹介ブース」での研究アウトリーチ活動 「東京大学 知能社会国際卓越大学院プログラム主催 ポスターセッション」での研究発表
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