2022 Fiscal Year Annual Research Report
真に降りたい地点への着陸のための展開型ターゲットマーカーを用いた航法誘導制御
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22J14323
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楠本 哲也 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 微小重力 / ターゲットマーカー / 小惑星探査 / 誘導航法制御 / 多粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,探査機が小惑星の真の降りたい地点に精度良く着陸できる手法を提案するものである.具体的な手法として,探査機が小惑星へ向けて膜型のターゲットマーカーを投下し,それを用いた航法誘導制御を行う.今年度の成果は, (1)ターゲットマーカーが小惑星表面上で行うリバウンドについて解析を行い,微小重力実験を行ったことである.加えて,(2)着陸シミュレーションにより,提案手法による着陸精度向上についても示した. 1)については,小惑星上で行うリバウンド抑制のために用いられる粒子ダンパについて,内部に含まれる小球の半径と個数から,跳ね返り抑制性能を評価する式を導出した.さらに,この妥当性を評価するための実験も行った.この実験では,北海道赤平市の落下塔を用いて,微小重力環境下でターゲットマーカーの衝突の様子を観察した.この実験により,提案する評価式の妥当性を確認した.また,並行して個別要素法による衝突のシミュレーションも実施した.シミュレーションと実験の比較も整合の取れる結果が得られ,ターゲットマーカーのリバウンド抑制を内部の粒子個数や半径によって評価できるようになった. 2)については,提案する自己展開型ターゲットマーカーを用いた着陸シミュレーションを行った.このシミュレーションにより,提案するターゲットマーカーを複数用いることで,目標地点付近にランドマークを配置することができることが要因となり,より精密な着陸が実現できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りの研究の遂行ができている.大きな成果として,落下塔による微小重力実験を実施できたことが挙げられる.この実験は以前からの計画通りの期日に完了することができ,また,理論的に導出した跳ね返りの抑制性能の評価式の妥当性を確認できたことからも,期待通りの進捗をあげられていると言える.また,提案する展開型ターゲットマーカーを用いた着陸シミュレーションに着手し,誘導航法制御の側面からも進捗が得られている.それぞれの成果について,学会発表を行った.また,どちらの成果も学術誌に投稿し査読中である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,提案するマーカーを用いた航法誘導制御則を構築すること,及び最適なターゲットマーカーの設計の提案に取り組む. 提案する展開型ターゲットマーカーを用いることで,水平位置だけではなく高度情報も一つのマーカーから得られることを利用した位置推定手法を構築する.また,複数のマーカーを小惑星上に配置する際に,最適な配置を検討したうえで,最も精度が良く降りられるような降下軌道を提案する.このようにして得られた,ランドマーク配置から探査機の降下・着陸までの手法を,ロボティクスシミュレーターを用いた実験により実証する.カメラとオンボードコンピューターを接続し,観測された展開型ターゲットマーカーから,カメラ位置の推定を行う.本実験を行うことで,シミュレーションでの実証にとどまらない,ハードウエアレベルでの実現性を示す. また,ターゲットマーカーの設計として,小惑星上での跳ね返りに加えて,水平方向運動も考慮したうえでの最適形状を示す.このような設計のターゲットマーカーを用いて,小惑星上に投下した際に,最終的に静止する位置をシミュレーションによって計算し,設計の妥当性の評価を行う. 以上の成果を合わせることで,目的とする真に降りたい地点へ,新たなマーカーを用いた着陸手法の提案を行う.
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