2022 Fiscal Year Annual Research Report
クリックケミストリーによって実現する動的微小環境の組織透明化蛍光イメージング
Project/Area Number |
22J14633
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
田村 伊織 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 組織透明化 / クリックケミストリー / 分子プローブ / 蛍光イメージング / 動的微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体小分子の局所濃度や酵素活性といった生体内の動的微小環境を、組織透明化技術を用いて三次元観察するための手法の確立を目指した。動的微小環境は生命現象や疾患病理に関与しており、生体イメージングの重要な観察標的である。一方、透明化イメージングにおいては透明化処理の過程でそれらの位置情報が失われるため、原理的に観察が困難である。そこで本研究では、微小環境に応答して近傍のタンパク質と共有結合を形成する分子プローブを用いることでこれを克服しようと試みた。さらに、生体夾雑環境下でも高選択的に進行する銅触媒クリック反応を用いて、臓器レベルの大きな組織を切らずに蛍光染色する手法の開発を目指した。共有結合形成型分子プローブと、汎用性の高いクリック反応を用いて蛍光染色を行う本手法を組み合わせることで、様々な動的微小環境を標的とする組織透明化イメージングが実現可能と考えられる。 本年度は、銅触媒を含むクリック反応剤の組織浸透性が低いという問題を克服すべく、組織の染色深度を評価する独自の系を構築し、組織深部まで効率的に染色される条件の探索を行った。それをもとに条件最適化を進めた結果、従来法と比較して染色深度の劇的な向上がみられた。実際に、臓器レベルの大きな組織に適用しても、組織深部まで染色が進行することが確認された。また、すでに開発済みの低酸素分子プローブと組み合わせることで、腫瘍全体の低酸素3Dイメージングにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、クリック反応による組織の染色深度を評価する独自の系を構築したことで、染色条件の検討を効率的に進めた。その結果、クリック反応剤の組織浸透性向上につながる条件パラメータをいくつか見出すことができた。それらを総合して条件最適化を進めたことで、組織を深部まで高効率にクリック反応染色する手法を開発することに成功した。これは当初の計画と比較してもおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、臓器レベルの大きな組織に対しても深部までクリック反応染色が進行する条件が得られたため、今後はこれをさらに最適化し、臓器全体の組織蛍光染色および透明化イメージングの手法として確立する。また、確立した透明化イメージング手法を用いて全脳の低酸素イメージングを試みる。
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