2022 Fiscal Year Annual Research Report
結晶面選択的な光励起キャリア輸送に基づく光触媒のヘテロ構造設計
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22J14958
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河瀬 侑大 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 電極触媒 / 光触媒 / 表面修飾 / 太陽光エネルギー変換 / グリーン水素製造 |
Outline of Annual Research Achievements |
ここまでの研究において、光触媒ナノ粒子を電極触媒巨大粒子に接合する新規構造の実現を試みた。また酸素生成反応における触媒活性を比較し、新規構造の優位性を検証した。従来の光触媒構造は少量の電極触媒を光触媒粒子上に担持したものである。ここまでの研究で、水熱合成法や光電着法などを利用してその逆転構造を実現させることに成功した。各構造を利用してアルカリ水溶液中で酸素生成反応を試みた。その反応速度は、逆転構造を利用した場合に大幅に向上することが確認でき、本研究のコンセプトの優位性を実証できた。また、電気化学測定も同時に行うことで、新規光触媒構造における電極触媒の役割も徐々に明らかになってきている。 光触媒性能は、どれだけの光子を化学反応に利用できたかを表す指標「量子効率」で評価すべきであるが、今回の結果では量子効率が低く、光子のほとんどが化学反応に利用できていなかった。今後光触媒材料の選定や合成条件の探索を行い、50%以上の量子効率における活性の差の評価を行う。新規構造の優位性は実証できたが、現在の構造では接合状態が不十分であり、依然として光触媒性能と酸素生成能の最大化は実現できていない。したがって今後は、光触媒の選択的なキャリア輸送に基づいた光触媒性能を最大化させる粒子接合法の開発に注力していく。更に、新規構造における電極触媒の化学状態や電位変化などを分析し、光触媒反応における電極触媒の動作機構と役割を明らかにすることも予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究で当初予定していた新規光触媒構造を実現できており、既に触媒活性に大きな差異が確認できていることに加え、そのキャリアダイナミクスを測定する準備が既にできているためである。新規構造の設計は既報の材料やその合成方法を組み合わせ、予定通りに進んでいる。また予定よりも早く各種時間分解分光法(時間分解テラヘルツ分光法、時間分解マイクロ波導電率測定法、光強度変調型光電流分光法)を習得できており、新規光触媒構造におけるキャリアダイナミクスを測定するための準備が整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)光励起キャリア(電子・正孔)の特定結晶面への輸送に着目した粒子接合法の開発を進める。逆転構造の優位性は実証できたが、量子効率を飛躍的に向上させるためには光触媒と電極触媒の接合状態が不十分である。予定通り、光触媒の特定結晶面と電極触媒を選択的に接合する方法の開発を推し進める。 (2)新規光触媒構造内のキャリアダイナミクスを、習得した各種時間分解分光法によってピコ秒からミリ秒のタイムスケールに分解し、明らかにする。 (3)新規構造における電極触媒の化学状態や電位変化などを分析し、光触媒反応における電極触媒の動作機構と役割を明らかにする。
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Research Products
(10 results)