2022 Fiscal Year Annual Research Report
思春期の子どもの精神的不調に対する座位行動の影響の解明
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22J15404
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松隈 誠矢 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 座位行動 / 精神的不調 / 思春期 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神疾患は思春期を好発時期としており、発症後は再燃・悪化しやすいという特徴がある。そのため、思春期を対象として精神的不調と関連する要因を明らかにすることが精神疾患を予防する上で重要である。本研究では、日常生活下で行われる生活行動のうち、座位行動に注目し精神的不調との関連を明らかにすることを目的としている。座位行動とは、覚醒中の座っている、横になっているなどのエネルギー消費量の非常に小さな行動のことである。座位行動についてはいくつかの研究で精神的不調との関連を調べているが結果の一貫性は乏しい。これには、座位行動が主観的な測定手法では妥当性が乏しいことや、座位行動については他の行動にも影響を与えるため、他の変化した行動による精神的不調への影響も検討する必要があるということが考えられる。 2022年度については、新型コロナウイルス感染症の影響を受け実験が困難な状態であったため、測定環境の整備を中心に行なった。また、研究計画の見直しの中で、個人間の座位行動時間が長いほど精神的不調がどうなのかという視点のみでなく、個人の内で長い日は精神的不調がどうなのかという視点が必要であると考え、1日毎に精神的不調に関連する項目についてメッセージでの回答を求めるシステムを構築した。3名の予備実験を行い、2種類(手首と大腿部)の加速度計による睡眠時間・運動時間・座位行動時間を計測することができた。メッセージ機能による1日毎の精神的不調に関連する項目についても回答することができており、測定可能な環境が整っていることが確認できた。 2023年度は、計測を開始し、精神的不調と座位行動の関連について個人内・個人間両方の視点から解析を行い明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により人を対象とする実験が困難な状態であった。また、その新型コロナウイルス感染症の影響により人の生活行動や精神状態には大きな変化が起こっている状態であり、計測を行う上で不適切な環境であった。これらの理由から、特別研究員採用中断の申請を行い、2022年度は中断状態であった。そのため、実際の実験を行うことはできず、実験環境の整備を中心に行なった。実験環境については加速度計からの生活行動の推定や精神的不調に関連する項目についてのメッセージ機能を使用した回答について十分に実施可能な状態であることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進捗状況としては、身体加速度計などの測定環境の準備が整ったため、今後は解析を行う上で必要なデータを集めていくこととなる。データを収集後、個人間での座位行動の傾向と精神的不調の傾向を比較し、個人間での座位行動と精神的不調の関連について明らかにしていく。また、本研究の変更点として、今後は個人間の関連だけでなく個人内での座位行動と精神的不調の関連を明らかにすることを追加の目標としている。先行研究では個人間の座位行動と精神的不調の関連のみを調査してきた。この場合、座位行動が長いから精神的不調に影響を与えたのか、精神的不調があったから座位行動の時間に影響が与えられたのかについては十分に明らかにすることができない。そのため、座位行動が変化するような介入を行った場合にどのような結果が起きるかは予測することができない。しかし、1日毎の座位行動時間と精神的不調を測定し、その2つの因子が縦断的にどのような関係があるかを明らかにすることで、介入により座位行動を変化させた場合には精神的不調に関してどのような変化が起きるかなどの予測を行うことができる。座位行動による精神疾患の予防が可能なのかを検討し、精神疾患好発時期である思春期において精神疾患予防の可能性を検討していく。
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