2023 Fiscal Year Annual Research Report
紛争多発地域における最適な援助政策に関する実証研究
Project/Area Number |
22KJ1023
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡崎 慎治 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 開発経済学 / 政治経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究テーマである紛争多発地域下での開発援助政策について、以下の研究活動に取り組んだ。第一に、分析対象地域の一つであるケニア・ナイロビでフィールドワークを行なった。それを通じて、東アフリカで起こる紛争や民族間対立の実情を学び、現実に即したモデルの構築に役立つ知見を得た。また、現地調査機関の訪問ではサハラ以南アフリカの交通政策について理解を深める上で有益な議論ができた。加えて、インタビュー調査を通じて、研究テーマをよりミクロな視点から考察し直し、これまでの議論やモデルを発展させる可能性を考えた。第二に、国内外の研究者とのミーティングで受けたフィードバックをもとに、追加分析等に取り組んだ。国内外の研究者からは、主に政策的示唆が不十分であること、意思決定に影響するパラメータの推定のための理論モデルに課題があることの指摘を受けた。2023年10月から東京大学を休学してイギリスで研究を続けることにしたことによる時間制約により、二点目に関する進捗は不十分であり、理論モデルの改善とそれに基づく推定を通じたより詳細なメカニズムの解明には至っていない。 研究期間全体を通じて、因果推論の分析枠組みにおいて、サハラ以南アフリカにおける道路建設が紛争の深刻化に与える平均的な影響が明らかとなった。分析のために同地域の39ヵ国にわたる複数の地理情報データを集め、地理情報をもとに分析可能な形にデータを集約した。構築したデータを用いて回帰分析を行った結果、道路建設は平均的には紛争犠牲者数の低下に寄与するが、政治的支配の弱い地域ではかえって紛争の深刻化に繋がる可能性が示唆される結果が得られた。分析結果の信頼性を高めるために追加分析に取り組み、これらの研究成果をワーキングペーパーにまとめ、国内学会で発表を行った。
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