2022 Fiscal Year Annual Research Report
Research on factors of enforcement of "Selection and Concentration" in National University Finance in Japan
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22J21484
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻 優太郎 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 国立大学法人 / 国立大学法人運営費交付金 / 基盤的経費 / 競争的配分 / 文部科学省 / 予算編成 / インタビュー / 成果を中心とする実績状況に基づく配分 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、(1)国立大学財政を巡る政策過程に関する資料収集・インタビュー調査、(2)国立大学法人運営費交付金の「成果を中心とする実績状況に基づく配分」の影響に関する分析の2点を行った。 (1)本年度は研究計画のうち、民主党政権期(2009年~2012年)における国立大学法人運営費交付金を巡る予算編成過程に焦点を当て、各省庁が公開している予算関連資料、報道資料をウェブ上及び国立国会図書館等で収集するとともに、当時の政府部内関係者に対するインタビュー調査を数回行った。これらによって、従来の先行研究ではその詳細が分析の対象となっていなかった、予算編成過程の一端を明らかにすることができた。この結果に基づいて現在論文を執筆中であり、近日中に学会誌に投稿する予定である。 (2)については、本研究課題の中心である政策過程の分析ではないものの、国立大学財政における「選択と集中」の一部を成す当該配分方法の実態の解明は、運営費交付金の配分方法が持つ実際の重要性を判断し、および法人化後の配分方法に関する政策過程の全体像を解釈するために重要であると判断し、実施することとした。具体的には、文部科学省から入手した当該配分の結果に関する資料に基づき、配分に利用される指標の設定過程、影響額の詳細な算出過程、重点支援における機能別の影響額の実態等を明らかにした。この成果は、日本教育行政学会第57回大会(2022年10月16日、於日本大学文理学部)において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である2022年度は、本研究課題の中核となる政策過程に関する資料収集およびその分析について、民主党政権期を対象として研究を実施することを予定していた。結果的には上述のように、資料およびインタビューデータの収集を十分行うことができ、分析を概ね終えることができた。年度内に予定していた分析結果の論文化及び投稿に若干の遅れが生じているものの、全体としては順調に進展している。 また上述のように、当初予定していなかったものの新たに実施することとした「成果を中心とする実績状況に基づく配分」の実態に関する分析については、入手した資料に基づき基礎的なデータの整備を進め、同配分及び基盤的経費全体に関する今後の研究視点を得ることができた。 以上の内容から、研究課題は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、運営費交付金に関する予算編成過程について、調査済である民主党政権期の分析の論文化を行うとともに、他の時期における予算編成過程の調査を行う。2022年度と同じくインタビュー調査の実施を予定しているが、インタビュイーの確保が困難である場合には、対象とする時期等、随時研究計画全体についても検討する。また、2022年度に実施した「成果を中心とする実績状況に基づく配分」の実態に関する分析については、各指標による交付金の増減等の未着手の部分についてデータ整備を行うとともに、「選択と集中」の実態を先行研究より精緻に把握するため、重点支援等の他の配分方法や、運営費交付金以外の補助金に関するデータ整備・分析を行うことも検討する。
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