2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22J21568
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
望月 祐希 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 消去学習 / 視床 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物は脅威と周囲の状況とを関連付けて学習することにより、次の脅威を予測し防御反応をとる一方、脅威のない安全な環境においては一度成立した学習を覆い隠す新たな学習により過剰な恐怖記憶を弱める消去学習が行われる。本研究は、消去学習を制御する腹内側前頭前皮質への視床入力を特定し、その消去学習の制御メカニズムを明らかにすることを目的としている。 2022年度は、まず、腹内側前頭前皮質に投射している神経細胞の視床内での分布を調べるために、腹内側前頭前皮質に逆行性トレーサーを注入して腹内側前頭前皮質に投射している神経細胞を標識し、視床領域を観察する実験を行った。その結果、腹側前頭前皮質へと投射している神経細胞は、視床内では辺縁視床の結合核や視床背内側核に多く存在し、それぞれの神経核の吻側と尾側に蛍光強度のピークが見られた。 次に、結合核や視床背内側核から腹内側前頭前皮質へのボトムアップ入力が消去学習に与える役割をより広範に調べるために、手がかり恐怖条件づけの消去学習において、恐怖条件づけで用いた条件刺激の呈示の代わりに、条件刺激と類似した音刺激を頻回呈示する行動実験系を構築した。その結果、条件刺激を頻回呈示した条件だけでなく、条件刺激と類似した刺激を頻回呈示した条件においてもすくみ行動の割合が減少するという結果が得られた。このことから、条件刺激だけでなく般化刺激によっても消去学習が進行する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、ファイバーフォトメトリー法による神経活動記録の消去学習前後での活動変化の解析のための準備として、ファイバーフォトメトリーで標的する脳領域やその座標の検討及び般化刺激による消去学習の行動実験系の構築を行った。しかし、ファイバーフォトメトリー法による神経活動記録の解析までは達成できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針としては、まずファイバーフォトメトリーのセットアップを行い動作を検証した後、神経活動を記録して解析を行う。単純な消去学習だけでなく般化刺激による消去学習中における神経活動も記録し、般化刺激による消去学習に対する辺縁視床からの入力の役割についても検討する。この実験では、各神経核の吻側と尾側にそれぞれ光ファイバーを埋め込んで神経活動記録を行うことで、より詳細な領域特異性をもった神経活動の変化を調べる。得られた結果をもとに、光遺伝学的操作によって、結合核や視床背内側核から腹側前頭前野に投射する神経細胞群の機能検証を行う。
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