2022 Fiscal Year Annual Research Report
労働安全衛生政策の実証分析-ストレスチェックが介護労働者に与える影響の解明
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22J22357
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
萩原 峻太 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | ストレスチェック / メンタルヘルス / 離職 / 介護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本のストレスチェック制度および職場におけるメンタルケア施策が労働者に与える影響を解明することである。メンタルの不調を訴える労働者の増加や、労働者の健康に対しての社会的な関心の高まりを踏まえても、この問いについて因果効果を明らかにすることは、社会的にも学術的にも重要なものであると考えている。 研究実施計画に記した通り、本年度には介護労働実態調査を利用し、介護労働者と介護事業所のデータをそれぞれ整理したうえで、操作変数法や差の差分析などを用いた統計解析を行った。学会報告としては、医療経済学会若手研究者育成のためのセミナーでの口頭発表と、日本経済学会秋季大会におけるポスター発表を行っている。 以下に現在の結果の概要を記す。分析の結果、職場におけるメンタルケア施策が労働者の離職に与える有意な影響は見られなかった。また、ストレスチェックの義務化が労働者の離職・メンタルヘルスに与える有意な影響についても観測されなかった。これらの有意でない影響は、事業所の種類や労働者の性質に依らずに見られた結果であった。労働者のデータからは、事業所における施策実施を労働者が十分には認知していないことを示唆するパターンも見られた。 これらの知見は、日本の労働安全衛生政策の根幹を成すストレスチェックの制度設計、さらに今後の政策を考えるうえで非常に重要であると考えられる。なお、2023年度には、これら結果の頑健性やメカニズムをより細かく分析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、データの整理と統計解析を行い、二つの学会発表を行うことができていることから、進捗は順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に引き続き、統計解析を進める。特に、学会発表でいただいたフィードバックを反映させることで、研究の質を高める。国際誌への投稿に向けての準備も進める。
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