2022 Fiscal Year Annual Research Report
化膿レンサ球菌の表層タンパク質の機能を阻害する阻害剤の探索
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22J22921
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山脇 つくし 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 化膿レンサ球菌 / 糖 / 抗体 / 低分子化合物 / 物理化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、化膿レンサ球菌の表層タンパク質の機能を制御する新たな機能阻害分子の開発を目的とする。特に、病原性を引き起こす上で必要不可欠とされている炭水化物の代謝に関わるタンパク質に着目している。1つ目の標的であるマルトデキストリン結合タンパク質SPs0871について、SPs0871特異的に結合しマルトデキストリン獲得を阻害する低分子化合物の探索を行った。前年度までに東京大学創薬機構により構築されている一般化合物を対象としたバーチャルスクリーニングを終えていたため、本年度はそのヒット化合物に対する示差走査蛍光測定DSFと表面プラズモン共鳴SPRを用いたスクリーニングを行い、マルトデキストリン結合との競合が示唆される化合物を1つ取得した。 2つ目の標的である糖鎖結合タンパク質SPs1696について、様々なフォーマット・ライブラリーからファージディスプレイ法を用いたセレクションを行うことで、SPs1696に対して高い親和性を持つ抗体を複数取得した。SPs1696をドメイン毎でも発現・精製を行い、表面プラズモン共鳴SPR・等温滴定型カロリメトリーITCを用いて結合確認を行ったところ、ライブラリーによって抗体の結合部位が異なることが明らかとなった。なかでも糖結合ドメインであるCBMに結合する抗体は部分的に糖結合を阻害し、加水分解の効率を落とす様子が確認された。さらにこの抗体について共結晶構造の取得にも成功し、糖結合の阻害メカニズムも明らかとなった。今後はin vivoアッセイの系を構築し、in vitroで機能阻害の見られた抗体が菌体表面環境下においても効果を発揮できるかについて検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り2つの標的タンパク質に対してスクリーニング・セレクションを順調に進めており、SPs0871に対しては低分子化合物を、SPs1696に対しては抗体をそれぞれ取得した。いずれもin vitroにおける機能阻害が確認されており、阻害剤が揃いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り2つの標的タンパク質に対する阻害剤が揃いつつある。今後、化合物に関してはホットスポットの特定や結合様式の解明を行い、親和性を上げる改変を行っていく。抗体に関しては現時点でセレクションを行えていないライブラリーを用いてセレクションを行い、より強力な阻害剤の取得を目指す。さらに、in vitroで機能阻害の見られた阻害剤が菌体表面環境下においても効果を発揮できるかについて、in vivoアッセイの系を構築して検証する。
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