2022 Fiscal Year Annual Research Report
敵対的生成ネットワークを用いたデータ駆動型強震動予測手法の構築
Project/Area Number |
22J23006
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 雄馬 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 地震動予測 / 深層学習 / GAN / 確率論 / サロゲートモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
データ駆動型強震動予測手法の構築に向けて、本年度では敵対的生成ネットワーク (GAN)を用いた地震動の条件付き予測手法に関する検討を行った。申請者はこれまでに、日本で発生した地殻内地震における強震観測記録データセットを対象として深層ニューラルネットワークの学習を行い、地震動データの加速度時刻歴データを直接生成可能なモデル (地震動生成モデル)を構築していた。地震動生成モデルではランダムに地震動が生成されるため、特定の条件に適合する地震動を効率よく生成することができない。そこで本年度では、条件となる変数によって生成するデータを指定可能なconditional GANの考え方をモデルに組み込み、地震動データに加えてその振幅特性と震源・伝播経路・地盤増幅に関するパラメータを同時に学習することで、生成したい地震動データの条件を指定可能なモデルへと地震動生成モデルを発展させた。その際、学習するデータの特徴を考慮してニューラルネットワークの構成を考案することで、生成するデータの質を向上させることに成功した。既存の地震動予測式の予測結果と構築したモデルの生成結果はおおむね対応しており、モデルの妥当性が確認された。以上のように研究を実施し、初年度の研究実施計画の目標を達成した。 上記の検討に加えて本年度では、構築したモデルを活用し、構造物の地震応答解析のサロゲートモデルを構築するとともに、構造物に大きな影響を与える地震動の効率的なサンプリング手法の構築を行った。このように、研究目的であるデータ駆動型強震動予測手法の構築に加えて、その工学的応用についても検討を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度では初年度の研究実施計画の目標としていた、生成する地震動の条件を指定可能なモデル構築を行うとともに、その工学的応用に関する検討も実施した。当初の研究計画では、地震動予測手法の構築を目的としていたが、その工学的応用に関する成果も得られた点で、当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、研究実施計画に則り、地震動生成モデルのエルゴード性に関する検討を実施する。そのために、新たな強震観測データセットの構築およびcycle-GANと呼ばれる手法の地震動予測への活用に関する検討を行う。
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