2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of twin nucleation mechanisms with in-situ high-resolution transmission electron microscopy mechanical testing
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22J23021
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
曹 旻鑒 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 転位 / 双晶 / その場観察 / TEM / STEM / 機械試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
形状が復元されない変形である塑性変形が進行することは,材料機能の劣化・喪失に直結するため,塑性変形の発現機構を解明することは非常に重要である.主な塑性変形機構として双晶変形や不動転位の形成が知られているが,変形初期に発生する核生成機構については,未だ明らかになっていない.本研究では,MEMSデバイスを搭載した試料ホルダーと原子分解能透過型電子顕微鏡(TEM)を組み合わせた原子レベルその場機械試験を行い,塑性変形初期の素過程を直接観察・解明することを目指している.今年度の主な成果は以下の通りである. (1)双晶表面核生成機構の原子分解能その場観察 金単結晶を対象として高分解能TEMその場機械試験したところ,試料端より双晶が核生成し,双晶厚さが一原子層ずつ成長する様子が観察された.試料端のステップ形状と双晶の幾何学的関係を解析したところ,双晶表面核生成には転位の上昇運動とすべり運動が関わっていることが示唆された.双晶核生成に転位の上昇運動が関わるといった議論はこれまでされておらず,本結果は双晶変形の核生成過程の理解に大きなインパクトを持つと考えられる.また,表面から導入される不動転位の存在が,転位の上昇運動に関わっている可能性を示唆する結果も得られた.今後は転位の上昇運動の活動に必要な条件を詳細に解析する予定である. (2)不動転位表面核生成機構の原子分解能その場観察 金単結晶を対象として走査TEMその場機械試験したところ,試料端より不動転位が核生成し,試料内部に導入される様子が観察された.原子像から試料に負荷されているひずみを解析したところ,特定のひずみ値前後で不動転位のコア構造が変化していることが分かった.精密に負荷荷重を制御して不動転位を導入したという報告はこれまでされておらず,本結果は不動転位の力学応答の理解に大きなインパクトを持つと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では,金単結晶を対象とした原子分解能その場機械試験を行った.その結果,これまで議論が不十分であった双晶と不動転位の表面核生成過程を直接観察することに成功した.本成果は塑性変形の基礎学理の理解に大きく貢献すると考えられ,本研究課題はおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,観察された塑性変形現象をより深く解析し,理論的背景の理解を試みる.得られた知見に関しては,学会発表および論文投稿を積極的に行っていく予定である.
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Research Products
(7 results)