2023 Fiscal Year Research-status Report
Size-selective synthesis of small metal clusters in redox-active porous ionic crystals
Project/Area Number |
22KJ1159
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原口 直哉 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 金属クラスター / ポリオキソメタレート / 多孔性イオン結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度では小核金属クラスター(Small Metal Clusters: SMCs)の中で、銀のSMCsについてAg3, Ag4, 及びAg6の作り分け実現した。そこで、今年度では特に報告の多いAg4に着目して、サイズ選択的な銀のSMCs合成を試みた。クラスターが形成される場(反応容器)となる多孔性イオン結晶(Porous Ionic Crystals: PICs)はレドックス活性なアニオンであるポリオキソメタレート(Polyoxometalate: POM)とマクロカチオンから構成される。PICsの構成イオンのうち、POMの(分子構造は変化させず)組成のみを変更することでPICsのレドックス特性が調整でき、マクロカチオンを変更するとPICsの結晶構造を変化させることが可能である。そこで、PICsの構成イオンを変更することでPICsの特性を制御し、PICsの内部にAg4をサイズ選択性に合成することを試みた。その結果、POMの変更によりレドックス特性を制御すると、第一還元電位が高いPOMを構成アニオンに選んだPICsにおいてクラスターの成長速度が遅くなることが確認された。一方、マクロカチオンの変更により結晶構造を変更すると、結晶中に細孔が連続的につながって開いている連続細孔よりも、細孔同士がつながっていない孤立細孔を有するPICsにおいて、結晶内部でのクラスター同士の凝集を防ぐ効果が高いことが確認された。これら2つの効果組み合わせることで、緑色に発光する4核のSMCs [Ag4]2+を単分散に近いサイズ選択性で合成可能であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PICsの構成イオンの影響を網羅的に調査することにより、昨年度の推進方策に記載した「銀クラスターの均質性の向上(サイズ分布の幅を狭くする)」について今年度の研究で達成することができたため、研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度及び今年度の研究によって銀でのSMCsの合成法を確立することができたと考える。そこで、次年度では銀のSMCs合成法を他種金属に適用することで、銀よりも先行研究が少ない卑金属(Cu, Pbなど)のSMCs合成に着手する。また、これまでに合成した銀のSMCsの応用について検討する。具体的には(1)触媒反応、(2)発光材料、(3)抗菌剤としての応用について検討する。(1)については、銀のSMCsをエチレンのエポキシ化や二酸化炭素還元反応の触媒として利用することを検討する。(2)については、銀のSMCsはそのサイズや外部環境(配位子や溶媒)によって発光特性が変化することが知られているので、発光材料として利用することを検討する。(3)については、銀イオンと銀のSMCsの抗菌作用を比較検討することで銀のSMCsの抗菌材としての利用について検討する。
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