2023 Fiscal Year Research-status Report
PET診断を志向した芳香環への超高速フッ素18導入反応の開発
Project/Area Number |
22KJ1167
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 泰成 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | フッ素化 / PET / ジアゾニウム塩 / 超原子価化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
陽電子放射断層撮影法 (positron emission tomography, PET) は、がん・認知症・循環器疾患などの診断や治療評価に広く活用されてきた。PET 診断には、陽電子放出核種で標識された化合物(トレーサー)が必要である。18F は、PET 用陽電子放出核種の中で最も物理化学的特性のバランスがよく、標識核種として最も利用されている。しかし、18F は放射能半減期が約 110 分と短いため、迅速かつ高収率な合成手法の開発が必要である。これまで、18F-FDG をはじめとする脂肪族の 18F 標識化合物の迅速合成はほぼ達成されてきたが、芳香族に 18F を導入することは困難である。現在、芳香環への 18F の導入には脱離能の非常に高い超原子価ヨウ素化合物が 18F の導入に用いられてきたが、厳しい反応条件と 18F の半減期に対して長い合成時間が必要であるうえ、低収率に終わることが少なくない。本研究では、芳香族求核置換反応を利用して、芳香環に 18F を短時間で導入できる反応を開発することを目指している。具体的には、超原子価ヨウ素化合物よりもはるかに脱離能の高い、ジアゾニウム塩と超原子価臭素化合物に着目し、これらを用いたフッ素化に取り組んでいる。 今回私は、ジアゾニウム塩と超原子価臭素化合物の両方について検討を行った。ジアゾニウム塩を用いた検討では、現在臨床で用いられているトレーサーのフッ素化の前駆体のジアゾニウム塩の合成に成功した。超原子価臭素化合物においては、汎用的な合成法の開発に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際の現場で用いられているトレーサーの前駆体合成に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今回合成した前駆体を用いて、ホットの系で 18F が導入できるかを検証する。
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Causes of Carryover |
ホットの実験は限られた時間でしか実施できないこと、前駆体合成が年度末になってしまったため。ホットの実験を来年度に実施します。
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