2023 Fiscal Year Research-status Report
Basic Research on Relations between Children's Time Use and Educational Inequality in Japan
Project/Area Number |
22KJ1193
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 心 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 教育格差 / 生活時間 / 社会階層 / 子ども / 成績格差 / 学習時間 / スクリーンタイム |
Outline of Annual Research Achievements |
内外の階層研究や貧困研究、生活時間研究に関する論文や書籍の整理、および社会調査データの二次分析を通じ、大きく以下の3点の成果を示すことができる。 成果1:「放課後の生活時間調査,2013」(ベネッセ教育総合研究所)の二次分析を行い、小中学生の生活時間と成績格差との関連を探索的に検討した。記述的分析の結果、低階層かつ好成績、高階層かつ低成績の子どもの場合、低階層かつ低成績な子どもよりも教育的時間は長く、享楽的時間は短い傾向が見られた。また、それは小学生よりも中学生において顕著な傾向であった。この結果の論文を投稿し、査読付き論文としてアクセプトされた(6月刊行予定)。 成果2:「放課後の生活時間調査,2013」の二次分析により、生活時間の回答について15分毎に24時間の行動を尋ねるもの(日誌法)と、行動別に平均的な行動時間を尋ねるもの(定型法)について、比較を行った。その結果、日誌法と定型法で算出された生活時間の差は、生活上必需な行動(睡眠・食事)や拘束的な行動(学習時間)よりは、自由行動の方が相対的に大きく、いずれの方法を用いるかは研究関心によって使い分ける必要があることを明らかにした。この成果は今後投稿を予定している。 成果3:「子どもの生活と学びに関する親子調査Wave1-4,2015-2019」(ベネッセ教育総合研究所)の二次分析を行い、中学3年生の学業要因が学業成績に及ぼす影響を検討した。一般的には学習時間が成績に正の効果を及ぼすと考えられるが、分析結果からは、学習意欲や学習方略を伴わない学習時間は成績を高めない可能性が示された。この成果は今後投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、21世紀出生児縦断調査について厚生労働省及び文部科学省への二次利用申請を行い、分析を行う予定であったが、所属先の環境と二次利用の条件との齟齬により申請を断念した。一方で、子どもの生活時間に関連する利用可能なデータを複数用いることが可能であったため、そちらを利用することにより研究を遂行していくことができた。したがって、学会誌への論文投稿や学会報告は滞りなく遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果のうち論文として未発表のものについて、学会誌への投稿を検討している。また、すでに分析済みの「放課後の生活時間調査,2013」とともに「放課後の生活時間調査,2008」のデータも併せて分析することで、子どもの生活時間の調査法に関する研究を進める予定である。さらに、すでに分析済みの「子どもの生活と学びに関する親子調査Wave1-4,2015-2019」から新たに、Wave7の2021年までの7年間のデータが追加されて利用可能となったため、生活時間についての長期的な成績などへの効果を検証することも検討している。
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