2022 Fiscal Year Annual Research Report
The sociology study of art for the wellbeing of breast cancer patients
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22J40049
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 加奈子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-01-04 – 2026-03-31
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Keywords | がんサバイバー / アート / 自己表現 / コラージュ / サバイバーシップケア / セルフトランセンデンス / 語り / ウェルビーイング |
Outline of Annual Research Achievements |
県内で活動する患者会に所属する就労しながら治療を続けた乳がんサバイバー、又患者会全般に参加したことがない就労しながら治療を続けた女性がんサバイバーを対象にオンラインで個別に聞き取り調査を開始した。 第一に確認できたのは、周囲から心配されたくない、仕事に影響するなどがんという病が持つ負のイメージや治療による外見の変化や就労の悩みなどから女性たちは特有の悩みを抱え、口を閉ざしていたことである。就労先では周囲に気を使い、極力オープンにはしてこない方が多くみられた。そして、オンラインを含む、患者会という場は当事者たちが安心して語れる場、共有できる場として存在していた。加えて、オンラインコミュニティーサイトPeer Ring代表の方にSNSならではの対策や、メリットデメリットや、私の回復について伺った。 3月には試験的だが写真コラージュワークショップを開催した。 ワークショップは、1. 背景となる写真を選び、2. そこに貼りたい写真を選び、切り抜き、貼って足いくという行程である。3.コラージュした写真や余白には自由にデコレーション、色味を加える、テキストを加える時間を設けている。4. 最後に、各自制作したコラージュにタイトルを付け、ミニ発表会を行うながれだ。毎回制作中は、世間話も交えながら、黙々と手先を動かし、時には無言になり集中して取り組んでいる。 限られた時間設定により、選ぶというプロセスが即興性を促し、直感を育み、集中や無心といった状態を作りだす。ミニ発表会では、作品として昇華された表現媒体を鑑賞し、感想を共有する。サークル参加者の多くは達成感を実感する。「アートは苦手意識があったけど, 夢中になっていた. 無心になって, あれこれ考えた, おしゃべりも楽しかった」などの対話が交わされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、定期的につき2回の対面でのコラージュワークショップを開催している(ハイブリット参加可)。同様の表現活動がオンラインでも展開可能になるために、プラットフォームの構築を行っている。対面、オンラインで得られるデーター(聞き取り、質問票、作品)の分析手法について、文献調査や研究会で議論を重ねている。さらに、主要な分析概念であるセルフトランセンデンスについて、文献調査をしながら、聞き取り内容の分析を始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、オンラインでのアート行為が展開可能なサイトの構築を行い、ユーザー数を増やしながらモニタリングを行なっていく。引き続きセルフトランセンデンスの評価方法の構築とビジュアルエスノメソドロジーを使った、質的分析に取り組んでいく。さらに、当事者分野における、ユーザビリティなどに関する評価手法にも十分チャレンジし、社会実装という点でも所属研究室と今後意見交換を重ねていく必要がある。
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