2022 Fiscal Year Annual Research Report
左室駆出率の保たれた心不全の病態形成におけるGAPDHシグナルの役割の解明
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22J10789
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Research Fellow |
中村 峻 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 心不全 / GAPDH |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、左室駆出率が保たれた心不全(Heart failure with preserved ejection fraction: HFpEF)における心筋細胞のグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(Glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase: GAPDH)の核内移行によるシグナル伝達の役割の解明を目的として、まず野生型マウスに対して高脂肪食+Nω-nitro-L-arginine methyl ester (L-NAME)を15週間投与し、HFpEFモデルマウスを作成した。通常餌を与えたコントロールマウスとの比較において、心エコー等による生理学的心機能評価および定量的PCRによる心筋組織における心不全関連遺伝子の発現解析等を含めた分子生物学的解析から、高脂肪食およびL-NAMEを与えたマウスがHFpEFの表現型を呈していることを確認した。続いて、このHFpEFモデルマウスから採取した検体を用いて、心筋細胞のGAPDHの核内移行が亢進していることを組織学的解析および分子生物学的解析により確認した。HFpEFモデルマウスにおいてGAPDHの核内移行が亢進していることを確認できたため、続いて変異GAPDHを発現する遺伝子改変マウスを用いてHFpEFモデルを作成した。遺伝子改変マウスについては先行研究において作成しており、これを使用した。変異型マウスおよび野生型マウスに対して心エコーおよび心内圧容積ループ解析による生理学的心機能評価を行った結果、心筋細胞におけるGAPDHの核内移行がHFpEFにおける左室拡張障害の病態形成に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子改変マウスの生育に当初の計画より時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
変異GAPDHを発現する遺伝子改変マウスを用いたHFpEFモデルマウスから得られた検体の解析をさらに進め、組織学的解析および分子生物学的解析により、HFpEFにおけるGAPDHの核内移行が心機能に及ぼす影響ならびにそのメカニズムの解明を目指す。
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