2021 Fiscal Year Annual Research Report
「創られた伝統」の浸透:南アフリカにおける人種隔離政策とズールー語歴史叙述
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21J01592
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
上林 朋広 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(CPD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2026-03-31
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Keywords | ズールー語 / 歴史叙述 / トランスナショナル・ヒストリー / 南アフリカ / 歴史学 / アフリカ文学 / ラジオ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、20 世紀後半の南アフリカにおける人種隔離を基礎としたアフリカ人統治政策(アパルトヘ イト)と同政策への抵抗運動における歴史の政治的利用を検討し、現在まで続く歴史観をめぐる対立 の形成過程を明らかにすることである。 研究初年度にあたる2021年度は、先行研究の整理・日本国内で手に入る史料の分析を行なった。以上の作業に基づいて、オンラインでの研究集会・学会で報告を行なった。しかし、予定していた海外での調査は実施することができなかったため、繰越を行った。 2022年度には、2021年度分の資金を使って、当初予定していたイギリスでの史料調査を実施することができた。具体的には、British Library, National Archives, London School of Economics, University of Reading, University of Oxfordでの調査である。集めた史料の内容は、南アフリカで活動を行なった宣教師・人類学者に関する史料、ズールー人知識人の講演、ナタール植民地におけるアフリカ人統治政策、アフリカ文学関連の出版史、人道主義団体関連史料など多岐にわたる。収集した史料は、南アフリカでの学会報告原稿の作成の際に活用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、世界的なCovid-19の流行により、海外渡航を伴う史料調査の実施ができなかった。また国内での史料調査に関しても移動制限があったため、一部実施することができなかった。2022年度には、2021年度分資金を繰越して、イギリスでの調査を実施することができた。また、史料調査に基づいた研究報告をオンラインでの国際学会、調査地である南アフリカでの研究集会で発表することができた。以上を勘案すれば、本研究はおおむね順調に進展していると考えることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、史料調査を実施する。また、これまで行なってきた史料調査・文献読解に基づき、国内の研究会及び国際学会で研究報告を行う。また前年度までに行なってきた研究報告のペーパーを論文原稿に加筆・修正し、国際的なジャーナルに投稿する。
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