2022 Fiscal Year Annual Research Report
継続的な分野横断研究のプラットフォーム構築:琉球諸語と言語類型論の協働を目指して
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22J01300
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
占部 由子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 琉球諸語 / 八重山語 / 言語類型論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,次年度以降の研究実施のための準備として,(i) 研究者との意見交換,(ii) 琉球諸語の文献整理,(iii) 現地調査の3つを行った。 (i) 研究者との意見交換について,今年度は琉球諸語(特に八重山語)の研究者や日本語学の研究者と定期的にミーティングをし,それぞれの関心についてや今後必要な作業についての議論を行った。八重山語の研究者とのミーティングでは,研究の推進だけではなく,各々が収集したデータの整備・公開も必要であることを確認した。そのため,現在はデータの整備作業も並行して行っている。 (ii) 琉球諸語の文献整理は,琉球諸語について扱った書籍・論文をまとめ,一覧にする作業である。これは,今後共同研究を推進するにあたって,報告者自身が研究史を再度把握し整理することと,ほかの分野の研究者が琉球諸語の研究を探しやすいようにすることを目的としている。一覧については最終的な整備を行った上で,2023年度の序盤に公開する予定である。 (iii) 現地調査は,今後共同研究を行うにあたっての予備的な調査のために実施した。今年度は。これまで報告者が調査をしてきた石垣島白保,大浜,真栄里,西表島船浮のほか,新たに小浜島や西表島古見の調査を行った。主な調査事項は形容詞,自他交替,格標示であったが,調査をすすめるうちに興味深い現象がいくつか見られたため,2023年度の序盤に整理し,共同研究を進めるテーマの選定を行う予定である。調査地点のうち小浜島については,調査した内容をまとめ,簡易的な文法概説の作成を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は琉球諸語とほかの分野の研究者 (特に,言語類型論の研究者) の協働の素地を構築することを目的としている。2022年度はその準備段階として,ほかの研究者の意見を仰ぐこと,研究史を整理し直すこと,今後の現地調査のために状況を把握することの3つに注力した。その結果として,研究課題の開始以前に,共同研究のテーマの候補として検討していた現象以外にも興味深い現象が見つかり,次年度以降に展開する研究テーマの候補をいくつか得られ,研究課題としての進展が見られた。しかし,ほかの分野の研究者との交流にはあまり注力できなかったため,次年度に行い,共同研究を実行する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として,前年度までに得られたテーマの候補からの絞り込みと,共同研究の実行がある。前者は2023年度の序盤に行い,その後順次,その分野に詳しい研究者に協力を依頼する予定である。その後は定期的なミーティングを行いながら,2023年6月頃から順次フィールドワークを行う。なお,フィールドワークについてはコロナウイルス感染症による状況の変化を見ながら行う。
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