2021 Fiscal Year Annual Research Report
Microbial synthesis of biodegradable plastics from synthetic plastics
Project/Area Number |
21J00049
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
蜂須賀 真一 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | リサイクル / プラスチック / ポリエチレンテレフタレート(PET) / ポリヒドロキシアルカン酸(PHA) / 細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
いわゆる合成プラスチックの大量生産・使用が様々な環境問題の原因となっており、特に使用後に適切な処理を経ずに環境中に流出することで引き起こされる海洋汚染については、近年世界的に問題視されている。こういった海洋汚染などの環境問題に対して、(A)合成プラスチックの環境に優しいリサイクル方法の開発や(B)代替材料となり得る生分解性プラスチックの開発に関する研究などが進められている。そこで本研究では、上記(A)と(B)の両面から同時に環境問題を解決することを目指し、合成プラスチックの1つであるPoly(ethylene terephthalate) (PET)を原料として、生分解性プラスチックの1つであるpoly(hydroxyalkanoate) (PHA)を合成することを目的とした。また、研究対象とする細菌が持つPHA分解酵素PHA depolymerase (PhaZ)の機能解析にも取り組むことで、プラスチックの生分解についての理解を深めることも当初の目的としていた。 まず、本研究申請時に使用予定だった細菌について変更を余儀なくされたため、別の細菌を用いた新しいPETリサイクルを構築することにした。その細菌における遺伝子組換え系を確立し、前述のPETリサイクルのために必要と考えていた遺伝子群の導入に成功した。作製した遺伝子組換え株の解析を進めた結果、さらに別の遺伝子が必要と予測されたため、現在新たな遺伝子組換え株の作製を進めている。目的株が得られたら、実際に培養してPHA生産についての解析を行いながら効率化を図る。一方本菌におけるPhaZは、その機能解析が既に進められていたため、さらに別の研究対象を模索した。海洋サンプルからPHA分解細菌を単離したところ、これまで見つかっていなかった種類の海洋性PHA分解細菌が発見されたため、今後詳細な解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
『研究実績の概要』でも述べたように、本研究申請時に使用予定だった細菌について変更を余儀なくされたため、別の細菌を使用せねばならなくなった。そのため、遺伝子組換え系の確立から行う必要があり、既に確立した前提であった当初の研究計画からはやや遅れていると言える。しかしながら、使用予定であった細菌と比べ、遺伝子組換え等をスムーズに行うことができることがわかってきたため、今後の展開は加速していくと考えている。またPhaZの機能解析についても研究対象とする細菌を変更したが、無事に興味深い研究対象を見つけることができたため、今後は滞りなく研究を進めることができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において構築を目指しているPETリサイクルでは、酵素分解と微生物代謝の利用を軸としている。後者に関する実験については、これまでに遺伝子組換え株を作製するなど順調に進めているため、今後は前者に関する実験についても反応条件の検討などを中心に進めていく。また、本リサイクルのコンセプトを別の化合物に応用することも考えている。 一方、海洋サンプルから単離された多数のPHA分解細菌を16S rRNAの配列に基づいて分類したところ、新しい海洋性PHA分解細菌も存在することがわかった。今後は、これらの細菌におけるPhaZに着目して研究を進める。
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