2023 Fiscal Year Annual Research Report
Stiefel多様体上最適化のための新Cayley変換理論とデータサイエンス応用
Project/Area Number |
22KJ1270
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
久米 啓太 東京工業大学, 工学院, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | Stiefel多様体 / 直交群 / 多様体上最適化 / Cayley変換 / Moreau包絡関数 / 非平滑最適化 / 平滑化 / 弱凸関数最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,正規直交制約条件を満たす最適な行列の探索問題「Stiefel多様体上最適化問題」に対する計算効率の良い最適化アルゴリズムを確立することである.本研究では,Stiefel多様体上最適化問題に対してユークリッド空間上最適化の知見を踏襲できる新たな最適化戦略「パラメータ表現法」を確立し,パラメータ表現法に基づく強力な最適化アルゴリズムを実現した. 今年度は,「勾配の収束率に基づいて収束保証されたユークリッド空間上最適化アルゴリズム」を「一般化Cayley変換を用いたパラメータ表現法(2022年度の成果)」に統一的に組み込む方法を提案し,その成果を纏めた論文が学術雑誌IEEE Accessに掲載された. また,本年度は,目的関数の微分可能性を仮定しないStiefel多様体上非平滑最適化問題にも取り組んだ.従来のStiefel多様体上非平滑最適化アルゴリズムは,関数の凸性条件が必要であったり,有限回の四則演算では計算できない(閉形式表現が与えられていない)写像の利用が必要である等,応用可能性や計算機実装の点で限定的であった.本研究では,「非平滑関数の関数平滑化」のアイディアをパラメータ表現法に拡張することにより,閉形式表現を持つ写像を活用するのみで,弱凸関数とよばれる関数をStiefel多様体上で最適化するアルゴリズムの実現に成功した.提案アルゴリズムは,パラメータ表現が与えられている非凸制約付き非平滑最適化問題にも容易に拡張可能である.そして,提案アルゴリズムをスパーススペクトルクラスタリングに応用し,従来アルゴリズムを凌駕する性能を数値実験により確認している.この成果を纏めた論文は信号処理分野のトップカンファレンスIEEE ICASSPに採択され,発表した. さらに,国内学会と応用数学分野最大の国際学会ICIAMにてパラメータ表現法の研究成果の招待講演を行った.
|