2023 Fiscal Year Annual Research Report
光重合誘起分子拡散による配向表面構造の創製と動的機能の創出
Project/Area Number |
22KJ1284
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
橋本 彩有里 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 液晶 / 高分子 / 分子配向 / 表面形状 / 光回折 / 外部刺激応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代力学・光学材料の開発のため,表面構造に動きを付与した動的な表面制御による機能向上が盛んに研究されている。本研究では,申請者が独自に見出した表面凹構造を有する液晶高分子薄膜の力学および光学機能を発現する単一フィルムの作製を目的とする。当該年度は,熱刺激に応答した光回折素子の開発を目指し,理論解析と合わせて詳細に光回折挙動を調べた。 異方骨格を有するモノマーに少量の架橋剤,光重合開始剤を添加した重合用試料を用いてパターン紫外光照射を行うことで,表面に周期的な溝構造を有する液晶高分子薄膜を作製した。このフィルムに様々な偏波面を有するHe-Neレーザー光を入射し,加熱冷却過程における光回折挙動を調べた。室温下では回折光は明確な偏波面依存性を示した一方で,等方相温度において偏波面依存性は現れず,全体を通して最も回折効率が高い結果が得られた。加えて,この加熱冷却過程における偏波面依存性および回折効率変化は,5回の繰り返し性を示した。したがって,液晶相温度では分子配向由来の回折が強い一方で,等方相温度では表面形状由来の回折が明確に現れることがわかった。また,フィルム膜厚方向の位相差変化に対するフーリエ変換処理や薄膜台形回折格子の回折効率に関する理論モデルによる解析を行った。その結果,形状由来の光回折挙動については実験値と理論値が一致することを明らかにした。このように本年度の研究を通じて,独自に見出した表面凹構造を有する液晶高分子フィルムの光回折素子としての材料応用性の指針を示した。
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Research Products
(6 results)