2023 Fiscal Year Research-status Report
DNA機能性流体の液滴生成と集積化のための統合型マイクロ流路の開発
Project/Area Number |
22KJ1294
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鵜殿 寛岳 東京工業大学, 情報理工学院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | DNAナノテクノロジー / マイクロ流体工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者が2023年度に主に取り組んだことは、(1)昨年度末に査読誌から要修正として戻ってきた投稿論文(相状態の光制御が可能なDNA液滴)の修正対応および(2)演算を行うRNA液滴の研究である。(2)に関して、英文の化学・マイクロ工学系の査読誌に提出して要修正として戻ってきた。 (1)に関して査読者から要求されていた追加実験は、(A)光応答能を持つDNAの基本的な性質をより明確にするための対照実験、(B)相挙動を基礎づける熱力学的な議論に関して、定性的な議論にとどまらず定量的なデータの裏付けを与える基礎的な実験、(C)光応答DNAの挙動を用いた何らかのデモンストレーション(例えば、一方向に自走するシステム)である。このうち、(A)および(B)に関して、研究代表者は実験を完了して修正原稿に反映した。特に、マイクロ構造体の熱力学的な変数を実験的に推定することで、液滴の光誘発ダイナミクスの物理的な基礎付けを与えた点は初の試みである。(C)は、本研究の直接的な範囲ではないが、査読者が真剣に原稿を読み建設的な見解を述べていることをふまえて、この追加実験にトライした。当初案では、ガラス基板上にDNAパターンを作製して光応答するDNAとの相互作用を利用して一方向に移動させる手法を着想した。しかし、技術的なハードルおよび時間の制約から当初案は中途断念した。 (2)演算を行うRNA液滴については、知性を持つ流動的な人工細胞を生細胞などの環境中で発現させる技術の基盤となるきわめて重要なテーマである。実験部分に関しては、技術補佐員の協力を得ながら実施した。特定のmicroRNAが2本入力されたときだけ、相状態が液相から分散相に変化することが実験でも確認され、設計通りの挙動が得られることが確認された。査読者からの指摘をうけて、安価な細胞染色液を利用してAND演算にともなう相変化を直接目視で確認できる技術も確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
査読対応の追加実験が質量ともにハードルが高い.
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Strategy for Future Research Activity |
査読者が追加実験として要求した事項を柔軟に解釈してはやく再投稿する.
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Causes of Carryover |
受入研究者が大型予算を獲得したため,余剰予算が生じた.この余剰予算は,主に国内外の出張費,GPU計算機の購入,DNA/RNA配列の購入などに充当する予定である.
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Research Products
(3 results)