2023 Fiscal Year Annual Research Report
芳香環カプセルを活用した揮発性有機化合物の分子変換法および捕捉技術の開発
Project/Area Number |
22KJ1318
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
角田 瑠輝 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 分子カプセル / 揮発性有機化合物 / 分子変換 / 固体材料 / 鎖状モノテルペン |
Outline of Annual Research Achievements |
植物由来の揮発性有機化合物である鎖状モノテルペンに対する芳香環カプセルの捕捉能および反応促進能について調査した。カプセルは水中・室温・1時間で鎖状モノテルペンを定量的に1分子内包した。シトロネラール、シトロネロール、ゲラニオール、ミルセンを使用した競争実験の結果、カプセルはホルミル基を有するシトロネラールを90%以上の選択性で内包した。固体状態のカプセルもまた、揮発した鎖状モノテルペンの中からシトロネラールをカプセルの内部空間およびカプセル間の隙間に最大80%の選択性で捕捉した。シトロネラールに対する高い選択性は、ホルミル基とカプセル間に働くC=O水素結合に由来する。 また、芳香環カプセルは、シトロネラールの酸触媒環化混合物の中から、p-メンタン-3,8-ジオール(PMD)を選択的に内包した。立体化学に着目すると、エクアトリアル(eq)およびアキシアル(ax)の異性体、eq-PMDとax-PMDが2:1の比率であった。最適化構造およびエネルギー計算から、複数の分子内および分子間相互作用が働くことでeq-PMDが内包により安定化されることが示された。 さらに、酸触媒を担持させた固体カプセルとシトロネラールを密閉容器内に室温・大気下・6時間放置することにより、触媒的なシトロネラールの環化二量化反応が発生し、主生成物として環化二量化体(MCA)を得ることに成功した。他ホスト化合物と比較して、固体カプセルによるMCA生成量は最大3倍となった。固体カプセルのシトロネラールの効率的な捕捉、カプセル内部およびカプセル間の空間に対するサイズおよび形状相補性、無溶媒条件下での濃縮効果が環化二量化反応の駆動力であると考えられる。この反応は最低5回以上繰り返すことができ、シトロネラールとゲラニオールの混合蒸気からも選択的にMCAを合成可能であった。
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