2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of pyroclastic surge flow model and elucidation of the damage toward human body in pyroclastic surge for planning effective disaster countermeasures
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22J23301
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
殿山 俊吾 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 火砕サージ / 火砕流 / LES / 粒子重力流 / エントレイメント / 沈降速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
火砕流の中でも特に希薄な層である火砕サージを対象とし、三次元乱流モデルを開発した。近年発表された火砕流を対象としたベンチマーク問題を計算することで開発したモデルの検証を行った。既往研究では三次元性を考慮せず浅水流モデルなどでこの問題が解かれていたが、本研究では二次元に近い状態と三次元の両方で計算した。提唱するモデルはベンチマークを高精度で再現し、従来考えられていなかった流動における三次元性の影響について示すことに成功した。さらに、実際の計算において、一般に考えられているより大きな乱流の効果が必要であることを示唆した。上述の成果はBulletin of Volcanologyに投稿予定である。また、この結果を踏まえ流体―人体連成モデルの開発に着手した。 以上の研究と同時に、火砕サージ内における粒子の挙動について、実験を行うこととした。火砕流を含む重力流では、周囲流体を取り込むエントレイメントという現象が流動において重要な役割を担っていると考えられている。特に火砕流のように内部における粒子の振舞いが支配的なものを粒子重力流と呼ぶが、粒子の振舞いに対し知見は少なく、そのモデル化も行われていない。そこで、水槽内を水で満たし、水槽に粒子と染料の混合物を流すことで粒子重力流の流動過程について、解析を進めた。粒子としてシリコンカーバイトを用意し、六種類の粒径で上述の実験を行った。体積の増加が沈降速度により支配されることを示し、一般的なboxモデルと異なり沈降とエントレイメントを考慮した新たなモデルは、体積と先端部の位置を良好に再現した。上述の内容はJournal of Fluid Mechanicsに投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では上記の実験を行う予定は含まれていなかった。しかし、流体内の粒子の挙動を理解することがモデルの精度を上げるために必要であること、また、数値計算に必要な実験データを自分で集めることで詳細な検討が可能と考えこれを行った。またこれは過去に塩水を用いた重力流の実験や粒子の挙動に関する実験を精力的に進めている研究室で行ったため、費用は元の研究費を圧迫することはなく、実験の開始から解析までにかかる時間の短縮も可能であった。加えて一年目のスケジュールである火砕サージ流動モデルの開発は当初の予定よりも早く進んだため、実験を並行して進めるにあたり大きな支障はなかった。 火砕サージ流動モデルと人体モデルの連成については2022~2023年度の前半にまでの期間に行う予定である。現在はモデル開発を行っている段階であり計画通り順調である。連成モデルの完成後は火砕流・火砕サージが一般的に危険とされる噴火口付近、中腹、そして危険性が特に不明である終端付近を想定した温度や密度を想定した流れの中で、人体の危険性評価を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は火砕サージ―人体連成モデルの開発と人体への危険性評価を中心に進める。また、2023~2024年度前半の計画である高精度・高速。高解像度な水平二次元モデルの開発では、GPGPU(General-Purpose Computing on Graphics Processing Units)を用いた実装を進めていく。申請当初はCUDAでの実装を念頭に置いていたが、今後の展開を考えOpenACC(Open ACCelerators)で書き換えを行う。 上記の通り論文2本の執筆中であり早晩投稿する予定である。
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